「定番が吉」

である。


俺にとっての「定番」とは何か?

それを解き明かさないことには、

本日の俺に「吉」は訪れないだろー。


いっそ

「店番が吉」

のほうが、

俺としては、取り組みやすかった。


更に言えば、

「番台が吉」

であってほしかった。

日本男児として、

この世に生を授かったからには、

一生に一度は

「番台」

に、上がってみたい。


「番台」

それは男のロマン。


近所に、

「おみっちゃん」という洋裁学校に通う女学生がいる。

年のころは、18、19。

俺と同じぐらいの年齢である。


おみっちゃんの家には、

風呂がない。

長屋暮らしだ。

早くにお父さんを亡くし、

病弱なお母さんと、

幼い弟妹を抱えながら、

おみっちゃんは、

昼は傘貼りの内職をし、

夕方は洋裁学校に通っている、

頑張り屋さんだ。


おみっちゃんが

ウチの銭湯にくるのは、

決まって、夜の7時ぐらいである。

昨夜も、弟妹を連れて

やってきた。


「こんばんは、ゴトーちゃん。

今度のデンマーク戦楽しみだね☆」


しかし、おみっちゃんちには、

テレビがない。

長屋の壁にコップをつけて、

隣家のテレビの音を、

姉弟で仲良く聴いているのだという。

なので、本田の活躍は知っていても、

本田の顔はしらない。


おみっちゃんのロッカーは、

「32番」。

「みつ」である。

俺がオヤジに頼んで、

おみっちゃんのためにキープしている。


おみっちゃんは弟妹の洋服を脱がせ、

「気をつけるのよ !

走らないで !

よそ様に迷惑かけちゃだめよ !」

と、言いながら先に風呂場にやってから、

ゆっくりと準備をする。


そして、俺のほうを振り向き、

「ゴトーちゃん、これどう?

洋裁学校で作ったの」


おみっちゃんは、

手作りのゴスロリ服を俺に見せてくれた。

昨晩は「森ガール」だった。

しかし、材料費が高いので、

おかあさんの古くなった割烹着を再利用して

作っていると、言っていた。


俺にゴスロリを見せ、

おみっちゃんは、

キレイな三つ編みをほどく。

そして、ゴスロリ服を、

ソロリソロリと脱ぎ、

シミーズ姿になる。


俺は見たいという気持ちと、

見ちゃいけない気持ちで、

胸が張り裂けそーになる。


しかし、俺も20才の若い男である。

欲望と誘惑は抑えきれない。


いけないと思いつつ、

ちらっと見てしまった。


おみっちゃんの

今晩のパンツは、

紫のTバックだった。


俺は夢想する。

いつか、おみっちゃんと夫婦になると。

そして、この銭湯を、

スパ&エステにするのだ !