「見切り発車に注意」

である。


本日も、半日をとうに過ぎてしまったというのに、

俺は、余裕で構えている。

何故なら、見切っているから。


俺と言えば、見切り。

見切りと言えば、俺である。

北辰一刀流免許皆伝の

「見切り名人」である。


俺は、何から何まで見切る。

株式市場、世界経済、W杯、

ナウなヤング、とらじろうの天気予報、

再来年のバリコレ、コソ泥、

スーパーの見切り品などなど。

それらの動向を注視し、

見切るのである。


思えば俺の半生、

「見切り人生」であった。

巌流島での見切りは壮絶だった。

東急バスの運転手だったころは、

すべての停留所で見切り発車し、

伝説のバス運転手になった。


俺は、今際に

見切り人生を振り返る。

「いろいろ、見切って参りましたが、

俺自身については見切れなかった」

と、ちょっといい話的な感じでまとめに入り、

辞世するだろー。


そんな俺は、

本日、これから昼寝をしようと思っている。