「東京には空がない」
と、智恵子が言った、
と、高村光太郎は書いたが、
「新宿にはエロスがない」
とも、智恵子が言っていたと、
高村はアメンバー限定記事に書いている。
俺は、昨日、新宿へ行き、
「ああ、新宿にはエロスがなくなったなぁ」
と、嘆息したのである、と昨日の記事に書いた。
俺が大学に入った春、
「ノーパン喫茶」というものが、
大ブレークしていた。
特に新宿のブレーク度は半端じゃなかった。
新しいお友達たちと(全員馬鹿)
「ほんじゃあ、ノーパン喫茶でも行ってみっぺか」
と、授業終わりに
総勢6、7人ぐらいで新宿へと繰り出した。
一体、誰が言い出したのかは、
まるで覚えていないし、
どーでもいいことだ。
その当時は風俗雑誌なんつーものはなかったので、
もう、行き当たりばったりで、
駅から一番近い、ノーパン喫茶に入ったのである。
確か木戸銭は1500円とか、そんなものだったと記憶する。
いや、正確に言うと、そこはあくまで喫茶店なので、
コーヒーが一杯1500円ということだったのである。
入ると、
我々と同じ年頃の女の子たちが5、6人、
乳を丸出しにし、というか、上半身裸で、
お出迎えしてくれた。
床は鏡張りになっていて、
女の子たちは、スカートの下はノーパン。
つまり、下を見れば、ノーパンが見られ、
上を見れば乳を拝めるという、
誠に、月亭可朝的どスケベ空間が広がっていた。
俺たちはどきまぎした。
さっきまで、同年代の「服を着た女の子」たちと、
教室で勉強していたのである。
帰り際も、クラスの女子に
「皆でどこいくのよ」
なんて言われ、
「ちょっと、まあ、でへへ」
なんつっていたのである。
即ち、クラスメイトの女の子が、
素っ裸になって、コーヒーを差し出しているのと同じことなのである。
俺は、オヤジだったら、良かった、と思った。
オヤジだったら、このどスケベな状況でも、
「お、ねーさん、いい乳してんね」などと、
思う存分満喫できたに違いない。
俺たちは、いたたまれなくなったのと、
そんなに乳ばっかり見ててもしょーがねーな、と思い、
退散した。
俺は、店を出る前、トイレに入った。
そしたら、乳丸出しの店員の子が入ってきた。
俺が用を足している間、
女の子は個室に閉じこもりきりだった。
女の子は女の子で、
なにかいたたまれない気持ちになったのかもしれない。
新宿にはエロくて、マブくて、ハクいスケがたくさんいた。
俺たちのよーなガキを相手にしてくれないエロスがあった。
鈴木いずみが、カリスマだった頃の話である。