「他人と比較されショック」
である。
俺は、社長を殺した、
出版不況が憎い。
血も涙もない出版業界に見切りをつけた俺は、
「異業種交流会」なるものに参加する。
もちろん、社長に拵えてもらった名刺を携えて。
それと、アイホンも携えて。
さらに、従兄弟から山のよーにもらった
損保ジャパンの上戸彩のうちわを携えて。
異業種交流会で、
俺は次から次へと名刺交換をする。
皆はん、立派な肩書きの方ばかりである。
「アナログ・ハイパー・クリエーター」
「お祭りサウンド・コーディネーター」
「クエスチョンマーク専門ライター」
「アイパッド対応型無農薬野菜クリエーター」
「スペアリブ・ダイエット・アドバイザー」
「梅酒ソムリエ」
「沢尻エリカ」
etc,
皆はん、とても前向きで、
とてもポジティヴで、
明るい未来を
くだ内閣とともに歩む覚悟がありありとわかる
肩書きである。
俺は気押されてしまった。
なんせ、俺の肩書きは、
「悲観主義のリアリスティックな一兵卒」
である。
そして、皆はんに
「ゴトーさんっておもしろーいっ!」
とか、
「いやー、時代の寵児ですな、がはは」
とか、馬鹿にされるだろー。
馬鹿にすんじゃねー、
この名刺は社長が命を懸けて、
こさえた名刺なんだ!
社長の奥さんも、
「AKB48シニア」とドモホルンリンクルの定期購入を
やめるかどーかの瀬戸際なんだ。
皆はんとは、違うんだ!
私は客観的に物事を見られる人間なんだ!
と、絶叫するも
「古っ!」
と、更に馬鹿される。
俺は泣きながらパーティを飛び出し、
渋谷センター街で、
皆に配る予定だった
損保ジャパンの上戸彩のうちわを
道行く女子高生に配りまわるのである。