「物事を深刻に受け止め、落ち込む」

である。


「である」と断言しているのは、

本日からリアリストな一兵卒に

成り下がったからであり、

「らしい」とか「だそーだ」

とか、ファンタスティックなことを

言ってはいけなくなったからである。


さて、俺は、生来、

悲観主義者である。

すなわち、俺の肩書きは、

「悲観主義のリアリスティックな一兵卒」

である。

なので、大至急、名刺を刷り直さなくてはいけない。


名刺は、何時できるだろーか?

この出版不況で、

どこの印刷所も瀕死の状態である。

俺は名刺の版下を持っていく。

たぶん、この時勢、料金前払いだと、

俺は深刻に受け止める。

料金も100枚で、

1万円ぐらいするに違いないと、

俺は深刻に想像する。


なんせ、俺の肩書きは特殊だ。

「悲観主義のリアリスティックな一兵卒」

なんつーやつだからな。

印刷所の社長は、

組版する際、俺の強烈に死にたくなる肩書きを、

改めて目の当たりにし、

自分も首を括りなるかもよ、

と、俺の依頼を深刻に受け止め、

俺の名刺を印刷している間のみ、

期間限定型の、

損保ジャパンの保険に入るだろー。

1万円という料金には、

損保ジャパンの保険料も入っているのである。


社長が命懸けで、職人魂を注入する。

それは、俺も深刻に受け止めなくてはいけない。

社長が命懸けで刷っている間、

俺は深刻に受け止め続ける。


が、しかし、悲報が届く。

社長の奥さんからである。

社長は、やはり、俺の深刻な肩書きに

耐えられなくなり、

饅頭をドカ食いし、

それを喉に詰まらせて死んだというではないか。

俺の深刻はマックスに達する。


葬儀の晩、

深刻な顔をしながら、

奥さんにご挨拶に出向く。

すると、還暦間近だというのに、

奥さんは、とても艶っぽかった。

聞くとドモホルンリンクルを愛用しているという。

そして「AKB48シニア」のメンバーだという。

さらに、この件で、

「AKB48シニア」を脱退することになるかも知れないと、

聞かされる。


聞かされた俺は、それをとても深刻に受け止める。

なんとかならないものかと、

伝手をたどることになる。


そして、社長が命懸けで印刷した名刺を持って、

俺はギョーカイ人に会いに行くのだ。

総ては俺のせいだから。