「親友と仲たがい」
だそーだ。
イヤだ、イヤである。
ただでさえ、不安定な俺なのに、
親友と仲たがいしたら、
俺は自殺してしまうだろー。
たぶん、思い余っての飛び降り自殺だ。
俺んちは2階建てである。
高さは3メートルぐらいしかない。
なので、足首骨折ぐらいで、
自殺は失敗するかもしれない。
自殺というものは、存外失敗するものである。
新撰組の吉村貫一郎は、
南部の藩邸で自刃したが、
死に切れず、
一晩もがいて果てた。
足首を骨折した俺を、
親友は見舞いに来てくれるだろーか?
なんせ仲たがいしてしまっている。
ジャパネットたかた社長は、
見舞いに来てくれるだろー。
不安定な入院生活は、
退屈だろー、と気をつかって、
福砂屋のキューブカステラ55グラムと
ポータブル液晶テレビを持ってきてくれるだろー。
そして、また、紙にサインさせられる。
ポータブルテレビの割賦払いの契約書である。
さすが電気屋からのし上がった男だ。
「ゴトーちゃん、金利手数料はすべて
ジャパネットたかたが負担しますから!
足首は不安定だけど、
また、スタジオ出演してね !」
と、言いながら、
俺から契約を取った たかた社長は、
とっとと帰るだろー。
たかた社長は社長だけあって、
とても忙しい。
更にスリランカ政府からも
またフェデックスが届く。
「ゴトーちゃん、不安定な足首、シンパイデス。
親友の人に配ってね」
という主旨の手紙と、
前回に比して、
一回り小さい、象の顔をした神様の、
ケータイストラップが100個ぐらい入っていた。
親友は、象の神様のストラップを受け取ってくれるだろーか?
俺は、不安定な足首を抱えながら、
親友にケータイストラップを渡しに、
病院を抜け出す。
