下北沢の帰り、電車に乗っていたら、

途中の駅で降りようとした

ばばあ(推定年齢70歳ぐらい)が、

よろけた。


まだちゃんと電車が止まっていないうちに

席を立ち、乗降口に向かおうとしたせいだ。


よろけたばばあは、なんと、

「ごめんなさいよ」 と言いながら、

俺の腕にしがみついてきた。

それも、親指を立て、二の腕の内側あたりに

全体重を乗せ、指圧の要領で襲いかかってきた。


ものすげー痛かった。

骨が折れたかと思った。


ばばあは、俺が何も言わないことをいいことに、

しれっと電車を降りて行った。

ばばあが降りたあと、

掴まれた腕が尋常じゃなく痛くなってきた。

ちきしょー、ばばあめ !

「痛たたたたたたったたあ~ !」

と、大騒ぎし、被害届を出せばよかった。

そしたら ばばあは、

過失傷害で、

「余生台無し」 になったはずだ。

俺が、長幼の序を大事にする

心根の優しい人間で助かったな、ばばあ。


しかし、あの力は 普通のばばあじゃないような感じがする。

もしかして、この世のばばあじゃなかったのかもしれない。

そんなサタデーアフタヌーンであった。