デパートでパニック発作を起こし、

もう、弁当でも買ってとっとと帰ろうと、

テイクアウトのお弁当の出来上がりを、

椅子に腰掛けて待っていた。


すると、

俺と妻の前を、

チュパカブラのような生き物が

(推定年齢5歳)

ぴょんぴょん飛び跳ねながら通りすぎて行った。

それも、妻の靴を踏んづけて。。。


するとすぐ後に、

赤ちゃんを抱えたお父さん(推定年齢、俺より10歳ぐらい下)が来て、

俺たちに向かって、

「申し訳ございません」

と、いいながら、

チュパカブラに対して、

「コラ ! 戻ってきなさい !」

と、叫んだ。

しかし、父親を完全無視し、

チュパカブラは、

ぴょんぴょん飛び跳ねたまま、

中華料理店に入って行った。


その様子を見ていたお父さんは、

再度、我々に向かって、

「本当に失礼しました」

と、深々と頭を下げた。


チュパカブラはともかく、

そんなに謝られても、

逆にこちらがこまるので、

「いやいや」

なんつって、やり過ごした。


それから、二分も立たないうち、

チュパカブラの首根っこを押さえながら、

また、お父さんが戻ってきた。

「ホラ ! ちゃんと言う事あるでしょう !

ちゃんと、ごめんなさいといいなさい」

と、いいながら、

チュパカブラの頭を無理やり下げさせた。

しかし、それでもチュパカブラは、

目を点にしたまま、

結局、「ごめんなさい」は言わなかった。


まじめそーなお父さんだったので、

チュパカブラが

「悪いことをしたらごめんなさいと謝ることができる人間になってほしい」

という思いで、育てていらっしゃるのだとおもう。


ご立派だとは思うが、

子供にはきちんと

「お前があの方の足を踏んづけた。

それは専らお前せいである。

だから、謝らなくてはいけないのである」

ということをきちんと筋道立てて教えなければ、

子供にも理は通らない。


まして、チュパカブラなのだから、

人間にするには時間がかかる。