http://ameblo.jp/turtlehaze/entry-10473276732.html の続き


一週間後の土曜日、車屋に出かけた。


オプションかなんか諦めろと言われていたので、開口一番「買う側が妥協するのは、あまりいい商いとは言えない」と「商いの真理」を言ってみた。


担当の女の子はびっくらして、おろおろして電卓を何度も叩いた。

もはや、一営業マンの確約できる範疇を超えてしまっていたようで、店長も交えて話すことにした。

しかし、店長も激戦の猛者らしく、なかなか此方の言うことを聞いてくれない。

私と妻が欲しがっていたのは展示車だったので「ここを一台分開けて、また新しいの飾ればいいんでは?」とか言うものの、相手も「いやいや、これも飾っておきたい」とかなかなかに手ごわい。

ならばと、今までやったことのない戦法を取ることにした。


押さば引け。寝たふりをしてみた。


夏空とは言え、外も少しずつ暗くなってきた。此方が無言で寝たふりをしていたのに、さすがに参ったとみて、店長が私の条件を全面的に呑むと言い出した。

そうなのだ、交渉とはカンバセーションをしてなんぼ、押し黙ってもの言わぬ交渉などありえないのだ。


かくして、私の車ころがしは成功を収めたのであった。金はなくとも新車は買えるのである。

「かあかあ」と烏が鳴いて、ゴミ袋を漁る。