今、お饅頭屋さんから帰ってきたら、
家の前に、女の子が立っていた。
日本で二番目に大きい電話会社の社員の子だ。
聞くと、光ファイバーをその会社のものに替えませんか、
ということだった。
仕事で使っているので、そうそう簡単に替えられない、
ということを丁寧に説明しながら、辞退した。
悲しそうな顔をしていた。
きっと一所懸命勉強していい大学を出たのだろう。
そして、大手電話会社に入社。
親御さんはもちろん、お爺さん、お婆さんも大喜びしたと思う。
「さすが、俺の孫だなぁ。
立派な会社さ、合格してよー。
夢叶っていがったなぁ~、
ほれ。じーちゃんからの就職祝いだ。
じーちゃん年金、一杯もらってっから」
「ほんじゃあ、ばーちゃんもお祝いあげんなねな。
これでパリッとしたスーツでも買え」
「じーちゃん、ばーちゃん、ありがとう !」
「泣がねで、ほら、みかんでも食え。
会社さ、入ったら、
泣いでばっかりいらんねぞ」
「今度は婿取りだな、がはは」
「じーちゃん、やんだぁ、恥ずかしい」
就職が決まった日、
彼女のお家でこのような光景が広がっていたことは、
想像にかたくない。
しかし、今はダッサイ会社のジャンバーをきて、
寒空の下、チャリ乗って住宅街を1軒1軒、
「電話の訪問販売」をしている。
じーちゃん、ばーちゃんは、
大っきな会社のオフィスでパリッとしたスーツを着て、
働く孫娘を想像しているのに。
悲しくてやりきれない。