呼吸にかかわる「体幹」=インナーマッスルは、体全体を内側から支えます。

 息の圧力で内側から体を固くして動きの足場とし、支える「圧力容器」のようなものです。


上部:横隔膜(呼吸筋)

前側面:腹横筋(筋肉のコルセット)

後部:多裂筋(背骨の深層筋)

底部:骨盤底筋群

 

 これらのインナーマッスルが連携して働き、お腹の内部の圧力「腹腔内圧」を高め、体を安定させます。


つまり、この「体幹」という「圧力容器」をコントロールすることが演奏の安定にとって、最も重要な事である事を肝に命じて置かなければならないのです。


 体幹のコントロールで最も有名な、下腹を凹ませて行うテクニック、「ドローイン」は、体幹トレーニングの基本として広く知られている方法で、その目的はインナーマッスルを目覚めさせる事です。


 脳と筋肉の神経的なつながりを再確立し、「正しいタイミングで働けるようにする」ためのリハビリテーション的方法とも言われています。


 ドローインは、腹横筋などのインナーマッスルを選択的に活性化させる事が分かっています。


 ❤️「一の呼吸」❤️として訓練する方法です。


 楽器の演奏をはじめ、全ての体幹コントロールや呼吸法の基本として昔から行われている「腹式呼吸」として有名な方法です。


 しかし、ドローインは万能ではありません。最大の限界は、高い腹腔内圧を生み出せないことです。下腹を凹ませる動きは、強い力を発揮するための体の自然なメカニズムとは異なるのです。


 音楽では大きな音や高音の演奏。運動ではスクワットなどの高負荷トレーニングやスポーツでは、ドローインは不向きであり、パフォーマンスを逆に下げてしまう可能性すらあるのです。


 では、高負荷の状況ではどのような呼吸法が必要なのでしょうか?それが「ブレーシング」です。



 ❤️体幹を「鎧(よろい)

化」する「ブレーシング」❤️


「ブレーシング」は体幹を「鎧」の様により強力にして、体幹の剛性を最大化する技術です。


 「ブレーシング」は、「体幹全体の筋肉を同時に働かせ、力を最大化します。

お腹にパンチを受ける時に、身構える状態です。このとき、お腹は凹ませるのでは無く、むしろ全方向に張り出して固めることを要求されます。


 腹横筋だけでなく、腹直筋や腹斜筋といったアウターマッスルも総動員して腹腔内圧を高めます。


 この高い剛性は、爆発的なパワーを生み出し、高いパフォーマンスが求められる場面で不可欠な技術なのです。


 注目するのはお腹の凸(出っぱる)時の動きです。自然なブレーシングでは「咳」をする時の様に、下腹は強く凹み、「腹腔内圧」を高めます。鳩尾(みぞおち=臍から上のお腹)が外に向かって凸(出っぱる)ります。この時、上半身の筋肉と強調して、横隔膜が強く下降して来ます。



 ❤️「二の呼吸」❤️として訓練する方法です。



 上半身の肺に吸い込まれた「息」は、咳の時には声帯・仮声帯により、演奏や発音の時には、口腔内の舌や声帯によってコントロールされます。このコントロールは下腹からのドローインとのバランスで信じられないほどの精密さで行われて、音楽や感情の表現となります。



 ブレーシングは単なる力みではありません。横隔膜と腹部の筋肉を協調させる練習が必要です。


 最終的には、お腹を固めた(ブレーシングした)状態で、微妙な呼吸や会話もできるようになります。この事により、どんな動作中も体幹の安定を維持し続けられ微妙な細部の身体のコントロールが可能となるのです。



❤️「完全呼吸」❤️の完成です。



 ドローインと比較してはるかに高い腹腔内圧を生み出すことができ、これが体幹の安定性を直接的に向上させます。

 また、お腹周りの全ての筋肉を活動させるため、体幹部の筋力向上に繋がることも示唆されています。



 体幹の「鎧化」は発音の為には、最終的に口・口腔・声帯までの気道の「鎧化」も含みます。


 体幹の鎧化時、横隔膜の下降を担保するための、肺を使う為に吸気時に上げた「肩の」下降による「肺の内圧の安定的上昇」は、声帯・口腔・口への息圧増加による発音時の強く安定した音の支えを生み出します。


 この様に身体の「鎧化」は楽器の演奏だけでは無く、歌唱・舞台発声・演説そして舞踏・スポーツなど身体を使った合理的なテクニックのマスターに欠くてはなら無い物なのです。


 そして体幹の安定による身体のリハビリにも重要なテクニックともなり、何よりブレーシングの具体的なマスターへの足がかりとなり、スポーツの世界にも大きなアドバンテージをもたらすと予感しています。


続く‼️‼️