呼吸にかかわる、体幹=インナーマッスルは体全体を内側から支えます。圧力で内側から体を固くして動きの足場とし、支える「圧力容器」のようなものです。
* 上部:横隔膜(呼吸筋)
* 前側面:腹横筋(筋肉のコルセット)
* 後部:多裂筋(背骨の深層筋)
* 底部:骨盤底筋群
これらのインナーマッスルが連携して働き、お腹の内部の圧力「腹腔内圧」を高め、体を安定させます。
体幹トレーニングとして取り上げられる「ドローイン」と「ブレーシング」は、この体幹という圧力容器をコントロールするための、具体的な二つの方法です。
最初の「ドローイン」は、体幹トレーニングの基本として広く知られている方法です。ドローインの目的は眠った筋肉の再教育とも言われ、インナーマッスルを目覚めさせます。慢性的な腰痛を抱える人は、腕や脚を動かす際に働くべきインナーマッスル、特に「天然のコルセット」と呼ばれる腹横筋の反応が遅れていることが研究でわかっています。
ドローインは、この腹横筋を意識的に収縮させる練習です。脳と筋肉の神経的なつながりを再確立し、「正しいタイミングで働けるようにする」ためのリハビリテーション的方法とも言われます。
ドローインは、腹横筋などを選択的に活性化させるため、腰痛の改善や姿勢維持に非常に効果的であることが多くの研究で示されています。
しかし、ドローインは万能ではありません。最大の限界は、高い腹腔内圧を生み出せないことです。お腹を凹ませる動きは、強い力を発揮するための体の自然なメカニズムとは異なります。
スクワットなどの高負荷トレーニングやスポーツの場面では、ドローインは不向きであり、パフォーマンスを逆に下げてしまう可能性すらあるのです。
では、高負荷の状況ではどのような呼吸法が必要なのでしょうか?それが「ブレーシング」です。
体幹を鎧化する「ブレーシング」
「ブレーシング」は体幹を「鎧化」の様により強力に、体幹の剛性を最大化する技術です。
「ブレーシング」は、「体幹全体の筋肉を同時に働かせ、力を最大化します。
お腹にパンチを受ける時に、身構える状態です。このとき、お腹は凹ませるのではなく、むしろ全方向に張り出して固まります。
腹横筋だけでなく、腹直筋や腹斜筋といったアウターマッスルも総動員して腹腔内圧を高めます。
この高い剛性は、爆発的なパワーを生み出し、高いパフォーマンスが求められる場面で不可欠な技術なのです。
ブレーシングは単なる力みではありません。横隔膜とお腹周りの筋肉を協調させる練習が必要です。
最終的な目標は、お腹を固めた(ブレーシングした)状態で、浅い呼吸や会話ができるようになることです。これにより、動作中も体幹の安定を維持し続けられます。
ドローインと比較してはるかに高い腹腔内圧を生み出すことができ、これが体幹の安定性を直接的に向上させます。
また、お腹周りの全ての筋肉を活動させるため、体幹部や股関節の筋力向上に繋がることも示唆されています。さらに、腰痛のリハビリ後期や再発予防においても、ブレーシングの指導を追加することで、痛みの軽減や機能改善に大きな効果があったという報告もあります。
続く‼️


