「一の呼吸」は基本中の基本ですからしっかりマスターしてください。一回マスターしてしまえば自動的に働くので四六時中意識をすることはありません。曲の中で難しいテクニックの時に具体的に意識することはたまにありますが「気付いたらそうなっていた」という方が多いです。
さて次は「二の呼吸」です。
「一の呼吸」でお腹をしっかり降ろしたら胸を広げて息を肺に入れます。肩も上げます。ラジオ体操の「呼吸の練習」のように、手を真横から真上に上げる時のように胸にいっぱい空気を吸い込みます。鼻から吸い込むと上手くいくことがあります。
この時「下腹は凹む」ことを確認してください。いろいろな呼吸法で「お腹と胸に両方吸い込む」という説明がありますが、息は「双子風船」のようにどちらかが凹むとどちらかが膨らむようになっているのです。これが腑に落ちていないと体に余計な力が入ってしまうことになります。
吸気が終わって、楽器を吹くときには息を下に向かって降ろします。
目的地は「お腹の一番下」です。
どの音域でも有効な方法です。
座奏の場合はお尻の穴を座面に向かって前側に押し付けるようにGをかけます。立奏の時もまずは「蟻の門渡り」ですが「膝」「足の裏」「地球の中心」と意識していきます。
トランペットの人は「鳩尾」に向けて下ろす人が多いです。鳩尾に向けて降ろすと不思議なことに、下腹は強力に「一の呼吸」の動きをしてきます。上下からの力が体の真ん中で釣り合い「カメハメハ光線」のように前に向かって凄いパワーが生まれます。鳩尾にゲンコツを当ててそれを押し返す練習がよくされますがとても解りやすい方法です。「下腹が引っ込んで鳩尾が出る」という方法です。
どの音域でも有効ですが、中高音域に適した方法です。
立奏も座奏もやり方は同じです。
「二の呼吸」はとても強い息が出るので使う場所は限られます。四六時中これで演奏すると、体がきついし、弱音でノイズが多くなってきますが、適切な場所で使われると効果的な表現ができます。体にも大きな負担がかかるので、筋肉痛などの障害が出るときがあります。
ベルカント時代の名歌手が
「余は花の匂いを嗅ぐぐらいしか息は吸わない」
と言ったのはこの辺のことかなぁと思っています。
お腹にパンパンに息が入っていれば、軽く鼻から吸うだけでいいのです。
かっこいい😅