前回は脱線してしまいましたが、バックの凄さはその音色のバランスです。

 
音は「芯」とその周りの「響き」でできています。
 
楽器の設計はそのバランスの妙と云えます。支柱が多いと響きを止めて、芯の強い音になります。支柱が太いと響は止まります。重量は響を止めます。その分振動が強くしっかりした音になります。
 
チューニングがリバースになると響きが乗ります。
 
楽器自体の重さが軽いと響きが出ます。
 
ノーマルバルブは振動成分を強くしますがアキシャルフローやオープンラップのバルブや巻き方は響きの成分を多く含みます。
 
バックは基本設計での「振動成分の充実」が特徴です。その為、比較的小さめのマウスピースで演奏することが可能です。この小さいマウスピースも、振動の勝った設計も、演奏するのはとても難しいのですが、演奏できた時は説得力のある濃い音を出す事ができます。
 
***社の楽器を無理してバックのようにしようとすると、重くて吹きずらい変な楽器になってしまうのは皆さん共通して言われる事です。ただ重くするだけではただ吹ずらくなるだけなのです。
 
コーンは8Hがとても響きの乗った音が出ます。88Hになるとその魅力は半減しますが、比較的大きめのマウスピースでバランスの取れた音色を出す事ができます。レミントンは8Hと88Hのために特別に設計されたマウスピースです。
 
今人気のゲッツエンやその基本設計をしたシャイアーズ。もちろんアレッシーホーンもどちらかというとコーンの系譜を引いています。コーンの弱点であったナロースライドをやめワイドに。チューニングがリバース。F管の巻きもスムーズさを優先しています。
 
最近のバックは時代の流行に乗って、響きの乗った楽器にシフトしています。F管のボアは太く、ヴァルヴもコーンの物を使用しています。メーカーが合併して個性が無くなって来ます。
 
昔ながらのモデル42Bトラッドモデルも作られていますので、そちらを吹いて見るのも面白いと思います。
確かに鳴りずらく、音色を決めるのは難しいですが、正確な演奏法で演奏できると何物にも代え難い良い音がします。