今から考えると、私が高校3年の時にトロンボーンを「やり直した経験」はとても貴重なものでした。
先輩や先生方に「面と向かって笑われる」ほど下手だった高校3年生が、芸大を目指し、その夢を2年で実現したのは奇跡としか言いようがありません。師事したのは、当時札響に来たばかりの真弓先生。27歳。
初めは、芸大なんてとても無理と先生にも断られ、途方に暮れて、何度かお願いに行って、最終的に父とご自宅まで押しかけてやっと教えてもらえることになりました。「2週間楽器を吹かないでそれから一度見てみようか」と言われレッスンに。その後、「とりあえず3ヶ月だけ見てあげよう」と。希望は繋がりました。
しかし何もわからないことからの出発。本当に下手だったので、ゼロからの出発でした。あるのは「燃えるような情熱」だけ。どうしたら先生のようにできるかだけを考えていました。
この経験は今となっては本当に有難かったのだと思います。何もできなかったので、音さえ出なかったので。「下手くそだった!」。本当に最初からの経験を純粋にすることができたのです。同時代には今も現役で活躍している有名なプロのプレーヤーもたくさんいます。その人たちは「最初から上手だった!」のです。いつもその人たちのことを先生から聞かされて、悔しかった覚えがあります。
先生がいつもおっしゃること
「亀谷は、初めて来た時は今まで教えた中で一番下手だった。でも、一番上達した!」
恥ずかしいけど、これは勲章です。
それから精進を続け、「プラハの春国際コンクール」の本選に進出。三大コンクールではトロンボーンだけでなく、金管楽器部門で日本人初の快挙でした。これも運がいいとしか言いようがない快挙でしたが、その話はまた別の機会に。
というわけで、日本中の「たくさんの子供達」や「なんだか吹きずらそうな大人たち」「昔は吹けたのに最近きつくて音が並ばないやという年配の方」にも、気持ち良く音が出て、喜びをもって楽器が吹けるような方法を伝えていきたいというのが今の気持ちです。
国内外のたくさんの名人との共演と交流。何人もの本物の教育者からの指導は夢のような時間でした。
私はトロンボーンが専門ですが、音大や吹奏楽、プロのプレーヤーを指導してきて、息の方法と、勘所を指摘しただけで本当に幸せそうに楽器を鳴らせるようになるという現場に立ち会って、心からの喜びを感じます。
ブログ発信だけでは切れ切れの情報になるので、久しぶりにまた本にまとめてみたいと思います。
順番に自分のペースで進めながら、自分の判断でまたは、先生の判断で飛んだり戻ったりできるものにしたいと思っています。
気の遠くなるような作業ですが、頑張ってみます。
今の技術を利用すれば、音や動画も入ったわかりやすいものができると思いますので、ご期待ください。
がんばるぞーーー(^-^)