クラークモデルで特徴的なのは前に書いたように、大きなスロートの採用で、それにより飛躍的な音量の可能性が広がりました。今までバストロ用に使われていた物を1インチのマウスピースに採用したのです。
 そしてそれと組み合わせたのが、ダブルカップという形状でした。金管楽器のマウスピースはトランペットに使われる、華やかで明るい音色を特徴とする「Uカップ」とホルンのように落ち着いたなめらかな音色の「Vカップ」という大きく2つの種類があります。バックのトロンボーンでいうとノーマルカップは「Uカップ」。高音用の浅いCモデルは浅い「Uカップ」。バストロ用の深いGカップは深い「Uカップ」です。
それぞれ例えば 5 5c 5G となります。
どのマウスピースも微妙に混合のカップで設計されていて、それぞれの特徴を持っているのですが、「Aカップ」というのは、はっきり「Uカップ」と「Vカップ」の混合の「ダブルカップ」という形状だということを宣言しています。
 参考までに、基本的に数字は大きいほど口径は小さくなります。数字の右横のアルファベットがカップの形状です。上記の他「Dカップはさらに浅く」「Eカップは最高に浅く」「Bは不明ですがカップはCに似ていて浅いものです」。レターな2つ並ぶと、例えば「GS」とか、は二番目のレターがリムの形状やバックボアの特徴を表します。組み合わせで近くの品番と区別することも多いようです。