こんにちは、にしんそばです。梅雨が明けてから夏さんが急に全力で本気を出してきているため、こちらも本気で汗を噴き出している。暑さに慣れさせるみたいな心意気が一切感じられないところがさすが夏という感じである。

 

 夏が本気を出しているのに、夏休みを迎えているはずの私は本気を出せていない。あれ?夏休みってそんな何かに追われるものだったっけ?

 ――はい。実は今学期のある科目のレポートの締め切りが今月半ばであり、なんと締め切りまで二週間弱もあるのだ。しかもこれからの二週間は比較的私も暇ときている(昨日あたりまでは労働(アルバイトのこと)がわりと立て込んでいた)。そのため「追われている」という表現はまったく適切ではない。それどころかまったく追われていないのである。

 

 今学期上限(東大では一つの学期に履修できる授業の上限が定められている。ちなみに目玉が3つほど飛び出る程度の良い成績を獲得すると次の学期からその上限を無視することができる)いっぱいいっぱいの週15コマの授業を取っていた私は、7月頭から7月末にかけて、全記事で紹介した試験の対策に追われながら試験がない科目のレポート作成に追われていた。

 

 私が履修した全15コマのうち、試験期間中に試験を行うものが前記事の通り4つ、最終授業で試験or口頭試問を行うものが3つ、毎回の授業の提出物のみで評価するものが1つ(ちなみにこれは体育である。平年は実技。「体育」の授業でパソコンに向かい、毎回200文字の作文×2をしていたのはなかなか滑稽だった)。勘の良い人間にはもうお分かりだろうが、残りの6授業(計算が合わないのは第二外国語の必修は「一列」「二列」と週2コマあるから)はすべてレポート評価である。これが、それなりに、つらい。

 

 レポートの酷な点は、ある意味当たり前であるが、「書かないと終わらない」というところにある。テストなら最悪何もしなくてもテストの当日になり、試験を決まった時間に受けさせられ、結果はさておきとりあえずテストが終わればその科目からは解放される。一方レポートは締め切りがあるとはいえ、このように指を動かして目の前のパソコンに文字を一定量打ち込まなければその科目との絡みは終わってくれない。しかもこのようなブログのように何も考えず規定文字数を埋めればよいかというとそうでもなく、それなりに考えて書かないとレポートの日本語と評価が大変なことになってしまう。試験対策をしたいのはやまやまだけど、レポートの構成を考える。このようなステップを自分から踏まないと終われない、これがレポートの魔力である。

 

 つまるところ、私はこの1か月で6体の魔人と戦わねばならなかったということである。魔人と言ってもこの中には2/3倒してあった魔人もいたし、ほぼほぼ倒してあったけれど攻撃を英語で行わないと倒れてくれない厄介な魔人もいたし、挙句の果てにはしばらく待たないと魔人の全貌が明らかにならない蜃気楼のような魔人もいた。六魔人六色である。幸いなことに私は7月下旬に蜃気楼魔人を除く5体の魔人の扱いに成功し、締め切りを破ることなくレポートを提出した。残るは締め切りが二週間後の蜃気楼魔人だけというのはその故である。そんなこんなで私はいま「締め切りはまだまだ先だけど頭の上にそれなりの重さの魔人がのしかかっており、まさにその魔人に真綿で首を絞められている」状態にある。なんとも中途半端である。

 

 この六体の魔人を倒すのにどれだけの労力が割かれたかはわからない。一概に文字数で想定できないものこの魔人たちが魔人たる所以である(2000字をたかが2000字と油断してはならない)。ちなみに先ほどの蜃気楼魔人の蜃気楼さは指定文字数がないという点でも遺憾なく発揮されている。

 

 だからといって魔人よりテストのほうが良いか?と呼ばれるとそれはそれで答えに窮してしまう。テストを戦う相手はもちろん全員東大生である。東大生の底辺を這いつくばっている(某予備校講師の言葉を借りれば「スッカスカのカッスカス」)私にとっては、底辺であることを見せつけられた入試と同じ「試験」という手段で履修者の成績を順序だてられてしまうと少々分が悪い。

 

 東大の成績評価は相対評価が中心で(単位認定の基準はある程度絶対的だとは思うが)、各科目100点満点でつけられるところ、ある程度の人数を超える履修者がいる科目では80点以上の「優」(ちなみに90点以上は「優上」、以下、65~79点が「良」、50~64点が「可」、49点以下が「不可」(「不可」を頂戴するとそれは落単で、その科目の単位は認定されない)である)は(優上を含めて)履修者の3割程度以内にせねばならない、という規定が存在する(俗に「優三割規定」という)。このような相対評価が故に、どんなに頑張っても周りの出来が良ければ「79良」を頂戴してしまうことも大いにあり得るわけである。その中でテストを行っても私はその三割に食い込んでいける気はしない。

 

 なら全部レポートになって万歳かというと、そう簡単には人生というものは進まない。レポートの評価はブラックボックス的なところも多く(自分のレポートがどれくらいの評価を受けるかなどの想定は一年生には少々難しい)、一概にどちらがいい!!と手放しには言えないというのが目下の現状である。現に一年生より明らかに「レポート慣れ」している二年生と同じフィールドで戦わねばならない科目も複数存在し、生き残りを模索せねばならない科目が多々ある(といってもすでにおおむねの科目のレポートは提出済みなのでどうしようもないのだけれど)。

 

 話がだいぶそれてしまった。締め切りがだいぶ先で、しかも他にこれといってやることがない現状では残り一体となった魔人も対処が難しくなってしまっているというのが本日の本題である。先月は忙しさも相まって隙間時間に構成を練り、単語を暗記し......など「切羽詰まった」なりの生活で魔人5体を倒すなど輝かしい戦績を残した。しかし前線から退いてしまった今、残るものはただ怠惰である。今日(正確には昨日)だって一日暇であったはずなのに蜃気楼魔人には3mmのダメージも与えられていない。趣味に打ち込んでいたわけでもなく、ただひたすらの怠惰である。追われていないからこその怠惰。私の人間としてのダメさっぷりがここに強く表れている。

 

 締め切りの話をしていたらこんな論文の存在を思い出した(http://ymatsuo.com/papers/neru.pdf)。どうあがいても人間は締め切りに追われる生き物ということらしい。ならしょうがないか。

 いやいや、それでは魔人に真綿どころか思いっきり槍で切り裂かれてしまう。毎日じわじわと書き進め、魔人を真綿で絞め返すことにしよう。それではまた。