気づいたら。
俺は、あの頃のおっちゃんの歳になっていた。
今でもふと、あの頃を思い出す。
汚れたオイルの匂いがする小さなバイク屋だった。
高校生の頃。
学校が休みなると、ボロボロのバイクに跨って
理由もなく。自然とお店に向かっていた。
ガソリン代もないから、走りたくても遠くに行けないから。かもしれない。
お店に行けばバイク雑誌を読めるから。かもしれない。
ほんと。理由なんて何もなかったけど、そこには自分の居場所があったんだと思う。
おっちゃんのことを良く言う人はあまりいなかった。
でも。俺はおっちゃんが好きだった。
叶うのなら、もう一度あの頃に戻りたい。
そんな。おっちゃんの思い出を残しておこうと思う。