旅客の安全を守るための日本語アナウンスの必要性 | トルコ航空ユニオンのブログ

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現在トルコ航空日本路線は日本人客室乗務員なしで運航が続行されており、日本語を話すとされるトルコ人乗務員の日本語は「片言」レベルです。

2009年4月28日イスタンブール発成田行きの機内では「13時間」の飛行時間を「サンジュウイチジカン」と誤ってアナウンスするなど、終始まったく聞き取れない日本語の案内であったと、利用客からの報告がありました。

下記の文章は12年前の1997年当時のものですが、緊急時の日本語のアナウンスの必要性と旅客の保安に対する各社の対策は、コスト削減という名の下に悪化する一方であり、故舟津氏の遺志が実現どころか更に軽視されている状況です。



舟津良行著 (1997) 「空の安全へのメッセージ」 日本航空技術協会  P77-79

(元運輸技官、全日本空輸(株)専務取締役)



安全提案 「緊急アナウンス」



 1996年6月、インドネシアのガルーダ航空DC-10が福岡空港で離陸に失敗、擱座、炎上し、数名の死者と多数の負傷者を出した。この際、乗客の緊急脱出にあたり、日本語を話すスチュワーデスが一人もおらず、スチュワーデスのアナウンスは英語とインドネシア語であった。


 このことは事故発生直後から問題となり、新聞報道によれば運輸大臣も“日本語の話せるスチュワーデスが乗っていて欲しかった。これを契機に反省しなければならない”と懸念を表明したが、同省航空局は“日本語サービスと避難・誘導は別の問題で、緊急時には言葉が通じなくても身振り手振りを含めて、きちんと誘導できる体制を整えておかなければならない”と言葉によるアナウンスが乗客に理解されないことがあってもやむを得ないと割り切っているようであった。


 運輸省の調査によると、日本に乗り入れている航空会社51社のうち、6社の便には日本語が話せる客室乗務員がいないことがわかった。このうち3社は通訳も乗務していないので、機内では日本語は全く通じないそうである。就航国の言葉が話せることは緊急避難時の必要要件とは考えず、航空会社によっては機内サービスとしても重要でないというスタンスのところもある。


 この言葉の問題は、英語が母国語の旅行者以外では、同じ頭痛の種である。ところが奇妙なことに筆者の知る限りでは国際的な航空安全推進の会議でもこの問題が取り上げられたことはない。たまりかねて筆者がある国際会議の席でこの点を説明し、非英語国の旅客のために、機内の英語放送をゆっくりわかりやすい言葉で行うように配慮するよう要請したことがある。結果は鄭重に無視されてしまった。

(中略)


 本稿のメッセージは単純、明快である。まず、国内でのコンセンサス作りを行い、ICAO.IATA、FSF等、影響力のある機関でこの具体化を図ることが必要である。筆者は消費者の一人として、航空関係者やマスコミが問題の評論に終始しないで、その解決に行動を起こしてもらうことを期待したい。