東日本大震災に伴い、政府が被災者支援対策の一環として、トラックや中型車を対象に、東北地方の高速道路使用料金を無料にしていたのは記憶に新しい。
しかし、本来被災地の物資輸送とは関係の無い『便乗』が多いとの批判を受け、8月末にて終了した。
9月以降は車種を問わず罹災・被災証明書を持つ被災者に限り無料となっている。
今日の中日新聞朝刊記事によると、9月に入って無料化が終了してもトラックなどが罹災・被災証明書を入手して、無料処置を引き続き受けているケースが相当数あるそうだ。
そして新聞社が独自で実施したサンプリング調査では、無料措置を受けたトラックの内6~7割が営業車で、『被害は受けなかったが被災地に住んでいる運転手が会社から証明書を取る様指示された』といった情報も寄せられている(以上新聞記事抜粋)
以前、無料措置が終了する事を受け、地元のトラック会社は頭を抱えているとの報道があった。
法の隙間を探し、本来の目的外であるにも関わらず平然と恩恵を受ける。
最近の日本人は本当にモラルが低下したのか?
例えば10トンのトラックが九州から東京まで輸送をする際、高速料金はかなりの金額がかかる。
だから東北の最南端にあるインターで降り、恩恵を受けて東京へ向かう。
そうすれば高速代は無料となる。
この行為が批判を浴びたのだ。
ならば10トンの内1トンでも被災地に輸送すれば、何ら問題がないではないか?
例えば、輸送依頼が無いとしても、トラック会社が自主的に被災地に支援物資を提供すれば、いろんな意見ははあるとしても、法的に触れる事は無いのではないだろうか?
今の日本人は、こんな体裁すら考える事が出来ない(考えなくても良い)社会を作り出してしまったのか?
『罰則が無いから』、『立証出来ないから』だから何でもありなんて社会はどうかしている。
彼らが犯した行為によって、その制度の恩恵を正当に受けていた人が被害を被っている。
僕は『モラルの低下』などという表現では済まされない悪質な行為だと感じてしまう。
また名古屋では、昨年市民団体が集めたリコール署名簿の一部がなんと複写化(電子化)され、そのデータがインターネット上に流出したという事件が起きている。
現在捜査当局と関係者が調査しているとの事であるが、100歩譲って署名簿が選挙に利用される事は『良し』としよう。
しかし、その名簿が選挙に関係の無い第三者に流出した可能性がある事は、断じて許される事ではない。
僕は、昔から選挙で様々な名簿(同窓会名簿・会員名簿など)が使用されてきた状況に馴れてしまった関係者が引き起こした『大失態』だと思う。
僕も選挙がらみの事はいろいろやって来たが、選挙名簿になりうるであろう署名簿(紙ベース)のデータが電子化されている実態については一定の理解が出来るが、そのデータ(電子化された)が流出するなんて到底ありえる事ではない。
なぜなら、選挙に於ける名簿の管理は徹底していて、ある程度の監視下で取り扱われる事が普通であるからだ。
しかし現実には流出してしまった。
その原因として考えられる事(私見)は
①署名運動時、署名簿集計時に内部分裂が起きていた。
②責任者が署名運動を実施しようとしたものの絶対的な運動協力者が足りず、協力者の身体検査もせず各地区の要職に就かせてしまった。
③上記の状況を察知した人間が、最初から名簿を入手する目的で団体に協力していた。
そんな所ではないだろうか。
河村市長は代表を務める減税日本の幹部と署名簿を集めた市民団体とで調査委員会を設立し、原因究明をすると市会定例会で発言したが、そんな事出来るはずがない。
そんな究明をしたら自分達の醜態を明らかにするだけでなく、組織としての信頼も失墜してしまう。
河村市長にしたら時過ぎるのを待つしかないのだろう。
この様にこの2例は、『法律に触れていなければ(立証されなければ)何をやってもいい。』という象徴的な物であり、非常に残念でならない。
片方は国民のモラル、もう一方は政治家のモラル。
本当に嘆かわしい時代である。