今名古屋では、昨年実施されたリコール運動で集められた署名簿の一部が、インターネットを介して流失した事が問題となっている。
このリコール運動が起きた一般的な見解は、河村市長と市議会の対立です。
そして対立している主な点は以下の2点です。
一つは、市民税を恒久的に10%減税するという選挙公約の実現です。
市長は、減税した分の使い道を市民に考えてもらい、地域の活性化につなげたいと訴えています。
一方、市議会は、減税は一年限りとし、その後は年度ごとにできるかどうか判断すべきだとしています。
市の借金の残高は年々増え続けていて、財政状況は今後一層、厳しくなることが予想されるからという理由です。
もう一つは議員報酬をめぐる対立です。
河村市長は政治は本来、ボランティアでやるものだとして、議員報酬を今の1600万円から半分に減らすべきだとしています。
一方、議会は半減の根拠があいまいだとしてこれを否決する一方、期限付きで報酬を自ら200万円程度引き下げました。
そしてこの議論は平行線のままでした。
市長は、政策が実現できないのなら、「議会を解散させて、議員を変えるしかない」と議場を飛び出し、市長と議会の主張、どちらが正しいのか、直接、住民に判断を仰いだのです。
市長は、「保身をはかる議会と庶民の対決だ」などと、住民と議会の対決の構図を強調して、署名を呼びかけました。
これからリコール運動が始まるのです。
ここでよく考えて下さい。河村市長は自分が主導でリコール署名を呼びかけているのです。
実際、橋下大阪府知事や中田前横浜市長も河村市長を応援に、名古屋市を訪れたのも記憶に新しいと思います。
なのに9月定例会の個人質問の返答で、署名を集めたのは自分ではないとの旨の発言をしている。
集めた人は市長ではない。これは事実である。
しかし今回の署名簿を集めた責任者は間違えなく河村応援団であり、決して当時の市議会を否定している集団ではない。
簡単に言えば、河村市長の言う事を聞かない市議会に不満があっただけである。
この経緯・実態を考慮すれば河村市長に責任は本当に無いのだろうか?
僕は法的責任は別として道義的責任はあると思う。
河村市長はこのリコールを成立させ、願わくば住民投票で市議会を解散させ、自分の息のかかった議員を送り込み、主導権を握るのが本来の目的だったのは言うまで無い。
しかし河村陣営には愛知1区の支持者名簿しか無い。
だから自分の主導でリコール運動を実施させ、自分の地盤(愛知1区【東区・西区・北区・中区】)以外の支持者名簿として、署名を電子化する事(複写して手元に残す事)は当然の作業であったと思われる。
ただしこれ以降はあくまで推論だが、リコール成立後河村陣営内部で分裂が生じ、データが増殖したのではないでしょうか?(減税日本から公認を取れなかった人とか)
中には地区毎に電子化を任されていた人もいるのだと思います。その方々が今尚そのデータを所持している可能性は否めません。
ならこの案件は法の裁きを受ける事はないのでしょうか?
正直この法律はザル法です。(政治家にとって)
僕はリコール署名活動に率先して活動した人には一定の責任はあると考えます。
なぜなら、今回のリコール運動の発端は『市長VS市議の対立』であり、最終的には選挙が待っています。
そんな事は誰もが知るべき事で、その名簿が選挙に利用される事は想定の範囲内です。
署名した人は別として、積極的に加担した人はある程度市政(政治)に対する認識が必要だと思います。
加担した人は、市長は給料800万円の他に年間数億円の活動資金がある事を知っていたのでしょうか?
市長は共済年金に加入していて、市議の多くは国民年金だと言う事を知っていたのでしょうか?
年収500万のサラリーマン(4人家族)の市民税減税額が年間¥10360と言う事を知っていたのでしょうか?
その為に多くの市民サービスが縮小を余儀なくされる可能性がある事を知っていたのでしょうか?
政策立案する事が、どれ位時間を費やす事なのか知っていて、市議の報酬が高いと感じたのでしょうか?
以上の点から加担した人も含めてこの問題を解決する必要があると思います。