漸く一口馬主としてのスタートラインに立った私が、いよいよ初めて出資する愛馬たちの選考に入る。その際、先輩馬主でもあったN氏の貴重なアドヴァイスを参考にさせて頂いた。ここでその内容を書くことは、N氏のノウハウに触れることになるので止めておくが、東京TC08産駒の選考は一次募集で牝馬2頭、追加募集で牡馬1頭の計3頭に決定した。




牝馬2頭の父は、08産駒が初年度産駒となるディープインパクトであった。初年度産駒は海の物とも山の物とも判断がつきにくいので冒険ではあるが、どうしてもディープインパクト産駒に魅力を感じた。しかし、相馬眼などを持ち合わせていない私のこと、これがとんでもないドラマの幕開けとなるのである。




まず最初に1次募集で決めた1頭は、ロンドンブリッジ08(レッドラファール)である。母の存在を知っていたこともあると同時に、そのまた母もあのG1馬であったことから出資を決める。そして、もう1頭はケイウーマン08(レッドディアーナ)である。兄弟にモンテクリスエスがおり、血統的にも非常に魅力的であったが、それ以上に毛色や立ち姿から大種牡馬サンデーサイレンスを思わせるような1頭であった。しかし、両馬共に母が高齢であったのであるが、当時はそのことにどんなリスクがあるのかさえ理解していなかったのである。




そして、1次募集の時から馬体と血統の良さから気になりながらも悩んでいた牡馬が1頭。その馬こそが、アグネスタキオン産駒のディクシージャズ08(レッドデイヴィス号)であった。外野からは、「顔が大きい」「別に魅力を感じない」などと誹りを受けながらも、個人的には叔父にデルタブルースが居ることと父がアグネスタキオンに代わったことで、クラシックを意識したことは言うまでもない。意中の本馬が牡馬愛馬として仲間入りをしたのであるが、後に本馬がとんでもないドラマを展開することになることは、この時点では全く気付いていなかったのである。




この08産駒たちを得た私は一口馬主としての第一歩を踏み出したのであるが、これが波乱万丈のスタートであり、普通であれば何年も続けていなければ経験できない様な出来事を、非常に短期間の中で経験することになることなど、この時の意気揚々とした私は知るはずもなかったのである。




(つづく)