つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)/吉田 篤弘
¥609
Amazon.co.jp

------------------------------

「わたしもここが好き。先生は?ちゃんとそこにいる?」

そこにいる?と訊かれてドキリとしたが、私はすぐに、

「いますよ。ここに」と、そう答えた。

「ずっとここにいます」

そう答えていた。

------------------------------

時間に置いていかれているような日々を過ごす人たちが

集う足元につむじ風が舞う店、

さびれきたシャッター商店街、

自分と宇宙までの距離を感じている果物屋の青年、

そして雨をふらす研究をしている先生。

どこにいても、どこかに行きたいと思っても、

違う場所にきたつもりでも、人は「自分の場所」からは

ずーっと、離れなれない。