タイトルのこの言葉をご存知だろうか、
もちろん知るはずがない、おれが作った。
花村萬月の「幸荘物語」に描かれている 「メンチカツ・ハイ」から盗んだ。
物語の冒頭で主人公が帰宅すると、
友人が勝手に彼の愛するメンチカツを食っていた。
それを必死で誤魔化そうとする。
という、本の内容は全く関係ないのだが、
家の近所の肉まん屋で買ってしまったのだ。あれを。
あれには手を出すべきではなかった。(今考えても恐ろしい)
切れてくると、発汗、強迫観念、自殺願望、幻覚に手足の震え、
と様々な禁断症状が現れ、ヨダレを垂らしながら床をのたうち回る。
発狂寸前まで一瞬で持っていかれる。
毎朝、一元コインを握り締め、禁断症状で呼吸が苦しくなり、
関節が軋むように痛む体をひきずって、はぁーはぁー言いながら、
例の肉まん屋までなんとか辿り着き、店先に金を叩きつける(約、13円)
「早く出せ!早く!」
濁った目でヨダレをたらしてハーハー言っているおれを
小バカにしたように、ニヤついた店主は、金を拾い、
「四個でいいのか?」
「うるせー!何個でもいいから早く出せ!ぶっ殺すぞ」
あきれたような顔をして、
「あんた、もう止めといた方がいいぞ」
と言いながら店の奥に消える。
ブツを受け取ると急いで
限界を訴えて悲鳴をあげている体を引きずって家に帰る。
早速その結晶を震える手を押さえ付けながらスプーンの上でライターで溶かし、
赤黒い斑点が無数にある腕をゴム紐で縛って、
浮き上がらせた太い静脈に、使い回しの注射器を突き立て、
何度か血液と聖なる毒を注射器の中でブレンドしながら、体内に送り込む。
のではなく
箸を袋から出し、箱を開き、手を合わせて、「いただきます!」
火傷するほどのアツアツの肉汁をこぼさないように口に運び、
咀嚼し、一気に食道へ流し込むだけだ。
だがその肉汁が口に広がる瞬間の充実感、開放感、
ドラッグを使ったセックスの数倍にも及ぶ快感が
足元から這い上がり、体を震わせながら、
テーブルの上に突っ伏して、
しばし悶える。
それを4個分、繰り返す。毎朝。