大盛り上がりのうちに夜はふけて、

皆がベロベロでゲームにならなくなってきたので、

ぴんぴんしている紅一点、ノリコを連れ出して、

潮風たなびくデッキでお話。


彼女は今回中国で少数民族の民族衣装を見るために

中国へ行くのだという。根性入っていて「一年は帰らね~」と言っていた。


彼女のエピソードを一つご紹介。

今回、海外に出るために彼女は初めてパスポートを取得した。

そのときに初めて、自分が朝鮮民族だということを知った。

三世で苗字も与えられていたので、両親も娘の対外的なことを

考えて、彼女に伝えていなかった。

「アタシには金(キム)っていうベタベタな朝鮮名があんの」

と、気持ちのいい笑顔を浮かべて言った。

現実をありのまま受け入れ、肯定できている彼女を素直に尊敬できた。

自分がもし、いきなり母親に

「あんたは実は隣の佐藤さんチの子なの」

とか言われた日には、3年間は引きこもるだろう。

とても彼女の様にステキに笑える自信は無い。


ノリコとアタシは東京で通っていた学校が歩いて十分、

関西の実家が電車で二十分という

共通点満点なので話に花が咲く。


アホなオレは、ムフフフ・・・・・・・・・いい感じだ。


はっ!!!


視線を感じ、後ろを振り返るとそこには


ビール片手にニコニコ顔の小野瀬大菩薩像が・・・・・・・・・


小野瀬さん・・・あんたは俺の船旅での楽しみをぶっ潰すために

ばあちゃんが送り込んだ背後霊だったんですね・・・・・・・



ともあれ、明日の朝には中国だ。