酒飲み店主の日々雑感

◆立春とは◆

2月4日は立春の日。太陽が黄経135 度に達する立春は、旧暦のお正月にあたります。その前日の夜、節分に豆まきをするのは、邪気を払い福を呼び込み、新しい春を迎えるため。

一年でもっとも寒い時ですが、みぞれ雪が降る中にも梅がほころび始めるなど、この日から寒さも和らぎ、日射しものびてゆきます。

2009 年の干支は己丑(つちのとうし)。正式には立春のこの日から干支が改まります。60年に一度巡ってきますが、前回の己丑の年は1949年。酒類販売が自由化され、ビアホールが復活しています。今年がよい年となるよう願いながら、立春朝搾りをお楽しみください。

◆〈立春朝しぼり〉は当日搾り◆

さて、春を迎えるめでたき立春の日にふさわしい祝い酒が〈立春朝搾り〉。節分の夜から一晩中、もろみを搾り続け、立春の早朝に搾りあがったばかりの生原酒を、 その日の夜に皆さまのお手元にお届けします。

朝できたばかりのお酒を夜に飲めるのだから、このうえなく新鮮。もちろんいっさいの火入れをしない生酒、しかも原酒です。酒蔵でしか味わえないフルーティな香気と、躍動感あふれる生まれてたて新酒の味わいを居ながらにして楽しめます。

立春の日の朝に産声をあげたばかりのお酒で、生まれたての春を祝いませんか。

◆杜氏さん泣かせの〈立春朝しぼり〉◆

搾り上がりが2月4日と決まっている立春朝搾りは、できあがりが早すぎたり遅くなったりしないいよう、完璧な管理と微妙な調整が必要なのです。「大吟醸より神経を使う」という杜氏さん泣かせのお酒です。

また、搾り上がったらすぐに瓶詰めして出荷しなければならないため、この日蔵人たちは夜中から、ときには徹夜での作業を行います。

◆酒屋さんも蔵に行ってお手伝い◆

〈立春朝搾り〉をその日のうちに飲んでいただくため、蔵元の近郊の酒屋さんが早朝から自ら蔵に足を運んで、瓶詰めや出荷の作業をお手伝い。注文分のお酒を直接蔵から運び出し、皆さまのお手元にお届けします。

また、酒屋さんは基本的に注文分しか持ち帰らないため、確実に入手するためにはご予約を。

◆蔵元近郊地域でしか飲めない地域限定酒◆

〈立春朝搾り〉は蔵元近郊の「〈立春朝搾り〉参加加盟店」が直接、蔵から持ち帰ります。ということはつまり、それぞれの銘柄は基本的に、蔵元の地元&近郊地域でしか買えません。

〈立春朝搾り〉は、地域限定酒。「その地域のお酒を造る人、届ける人、飲む人が、一緒に春の到来を祝う」という地酒ならではの意味合いも込められた、イベント酒でもあるのです。

◆お祓いつきでめでたさひとしお◆

蔵元・酒販店さん総出の出荷作業の合間には、近隣の神社の神主さんによるお祓いが行われます。

お酒を造る人・届ける人・飲む人……〈立春朝搾り〉に関わるすべての人の無病息災、家内安全、商売繁盛を祈願。皆さまに幸多かれと、穢れのない新酒をお届けします。

津乃嘉商店では月の桂と酒呑童子をご用意しております。