旅空に さらりと読める 掌編は
その瞬間を キラリ切り取る
- 空の冒険 (集英社文庫)/吉田 修一
- ¥508
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昨日借りた「空」3部作(?)のうち、まずはこれを読みたかった。
札幌時代、帰省するにしろ、出張するにしろ、道内での移動
ですら・・・・飛行機利用してました。
昨日、北海道新幹線が開通したようですがまだ函館まで
ですし、北海道は広いし!!
私は飛行機の離陸がめちゃくちゃ苦手でして(ノ_-。)
何回乗っても慣れず。帰省するのも、おっくうになったくらい。
隣の知らない人に「手を握ってください」・・・って頼みたい自分を
制するのに必死!!(←真面目に)
そんなとき、座席の前に入っている雑誌類は大変に役に
立ちました。多少、気がまぎれました。
この本は、そんなANAグループの機内誌「翼の王国」に連載され
ていたものを、1冊のまとめたものです。
もしかして掲載年からすると、私も読んでいたかも??
・・・もちろん、覚えてはいませんが(^∇^)
短編小説が12作と、エッセイが11作。
大変に読みやすい。どこから読んでも、面白い。
短編小説だと、日常の切り取りがうまいなぁと思ってしまうもの
ばかり。
掲載誌の関係で、旅物語が多いかと思えば、そうでもなく。
そしていつも吉田作品で私が気になるのが、タイトル。
今回も、意味深なタイトルがいくつかありました。
もちろん、わかりやすいものもあるのですけれども、気になった
のは「赤い橋の下のぬるい水」と「ほえる犬は噛まない」の2作。
「赤い橋の下のぬるい水」は、まったく関係ないようなタイトル
ですが・・・よく考えると、怖いタイトルになっているように思えます。
「ほえる犬は噛まない」は、逆に「ほえない犬は噛む」んだな、と。
噛まれちゃったんだな、と。
こういうところ、うまい。
エッセイも、吉田氏ファン(勝手に)としては、考えが示されて
いて興味深いですね。
最大の手土産は自分自身だ、とか。
その手土産として、親に自分自身を「盛って」しまう、とか。
選んだ行為に、豊かさがあらわれる、とか。
うーん、とうならされました。
旅のお供に、よさそうです。繰り返し読んでも、きっと飽きない。
文庫も出ているようですし、私もこれは買いの1冊です☆
★★★☆