◆元三大師関連寺院(参)
(1)樹光山 浄土院 常樂寺(東京都稲城市)
2023年8月27日、東京都稲城市にある常楽寺を美月と奉拝しました。
この日は、京王相模原線を使って橋本から稲城へ移動、そして調布の深大寺で開創1300年記念の深沙大王特別御朱印を頂く旅程を組みました。
さて、常楽寺の開創は760年頃とされ、行基菩薩或いは慈覚大師(円仁)の開山と伝承が曖昧ですが、天台宗・東国出身を考慮すれば後者の方が現実的かもしれません。
本尊は阿弥陀如来と脇侍の観音・勢至菩薩であり、多聞・持国の二天像、閻魔大王像があるとの記録ですが拝観することは出来ませんでした。
山門は小振りながら格式高く装飾の彫刻も細密で、美しい宝石箱のような造形には目を見張るものがありました。
そして山門の背面には文殊菩薩騎獅像と普賢菩薩騎象像が配置されています。
時代は新しいのですが、動物に騎乗する菩薩をこの時初めて見たのを契機に、私と美月は仏像にも興味を抱いて勉強するようになりました。
摩利支天が猪に乗ることはアメ横をねぐらにしていれば自ずとわかりますが、他にも鵞鳥や白狐、孔雀など、ドラクエではありませんが良く乗っているのです。
本当に仏像は不思議です。
また、時代は読み取れませんが、境内に設えられた馬頭観音の石仏は、荒々しく粗雑な彫りではありますが、その忿怒の表情に心惹かれるものがありました。
他にも古い文化財があるようなのですが拝観することが出来ず、一般参拝者が観られるのは黄色いペンキに塗られた露天の菩薩ばかりというのが残念でなりません。
信仰と美術の狭間にあることは理解出来ますが、御朱印のように形から信心に入る衆生も多いのですから、寺社側もこれからは積極的な対応を考えた方が良いかと思います。
それでは常楽寺の角大師護符をご紹介しましょう。
これまで60山近くの元三大師関連寺院を巡りましたが、刺青のように、角大師の御姿に文字が書き込まれている護符は初めてです。
「降伏一切大魔最勝成就」は大般若経転読会で僧侶が唱える言葉であり、「一切の魔物を打ち破り、最も素晴らしい幸いを成就したまえ」と言う意味があるようです。
図柄の原型は京都の真正極楽寺真如堂のものと似ていますが、これまでの収集においては大変珍しい部類に入る角大師護符であると確信しています。
素晴らしい一品です。