葵は私の幼なじみ。
同い年なんだけど、葵は妹みたいな存在かな
ちっちゃくて、いつも明るい 意外と器用で誰にでも優しい。
たまにうざいけどそんな葵が好き。
小学生って言うとほっぺを膨らませて怒る
あんま怒らせたくはないんだけどかわいいから…
葵は気づいてないんだろうなぁ
でも気づかなくていいよ。
葵の隣にいられるだけで私は十分。
…さ りさ… 理佐…!
誰だよ…こんな朝から…
ん… えっ 嘘でしょ
8時?! 遅刻じゃん!
「やばい!」
「あ!やっと起きたぁ おはよう理佐!」
ん?葵?なんで?
てか学校!遅刻だよ?!
「葵?!なに呑気なこと言ってんの!遅刻するよ!?」
「え?今日日曜日だよ? 動物園行く約束したじゃん!」
日…曜日…?
「ほら理佐はやく〜」
そっか、今日日曜日なんだ。
葵と動物園行く約束してたんだっけ
「ちょっと待って小学生 今準備する」
「小学生じゃないもん!」
早く早くと急かしてくる小学生のために急いで準備を終わらせ出発。
町の唯一の動物園。
もちろんパンダなんていない。
だけど葵はすっごい楽しそう、
ん…?葵…?
「え 葵それ…」
「犬だよ〜 かわいいでしょ〜」
葵が持っていたのはビニールの犬の人形みたいなやつ。
いや…確かにかわいいけどさ…
それ幼稚園生が買ってもらうようなやつじゃないの?
「葵…ついに幼稚園生になったんだね…」
「うるさいな〜もういいの!」
と言うと先に歩いて行ってしまった
「あ! キリン! ねえ理佐、餌あげようよ〜」
「え〜 ベロ長くて嫌なんだけど」
「ほら、あそこで売ってるよ! 行こう!」
あーあ、走ってっちゃった
ほんとに小学生みたい。
だけどずっとこのままでいてほしいな。
「すみません、キリンの餌ください!」
「はい、200円になります」
そういえば葵サイフ持ってきてなかったよね
「おかねない!!」
「りさぁ 200円ちょうだい!」
ほら叫んでますよ
「はいはい 今行くよ」
「はい、200円」
「ありがと理佐」
「200円丁度ですね、はいどうぞ!」
「姉妹かな? 今日は楽しんでくださいね!」
優しそうな飼育員さんに満面の笑みでそう言われた
「は、はぁ… ありがとうございます」
一応お礼言わないとね。
ふと横を見るとさっきまでいた葵がいない
「葵?!」
周りを見渡す
と、ひとりでキリンに餌をあげていた
ちょっと急にいなくならないでよ…
心配するじゃん…
「あおいー! 勝手にどこか行かないでよー!」
「ごめんりさぁ!でもキリンすごいよ!」
私の心配をよそに、楽しそうに餌をあげてる葵。
まったくもう…
これだから葵は…
すると キリンに餌をあげ終わったらしい葵が駆け寄ってきた
「理佐!次ライオンね!」
「葵ストップ」
「ん?」
「すぐどっか行っちゃうからさ、手。」
ちょっと強引だったかな
でも手…繋ぎたくて…
ダメかな…?
そう思ったその瞬間、私の手は小さな手に包まれていた
「え…」
「理佐が言ってきたんだからね?」
「ほら理佐、行こ!」
「あ…うん」
「あ!葵ちゃん!」
んー…あの子、葵の友達かな
「美波ちゃん!久しぶりだね!」
「今日はペンギン見に来たんよ〜 葵ちゃんは?」
「えっとね〜」
「葵、よかったら2人でまわってきたら?」
「ううん、美波ちゃんまた今度遊ぼ!」
「うん!またな〜」
葵、我慢してたかな
「別に気遣わなくていいのに」
「だってせっかくのデートだよ?」
ぐっ…葵の口からそんな言葉が出てくるとは…
「美波ちゃんは友達だからいつでも大丈夫だけどさ、理佐は特別なの!」
「もう理佐ったら〜 はい次行こ!」
特別だって… 特別…
ライオン、ゾウ、ウマなどたくさんの動物を楽しんで、気づけば空はオレンジ色。
ずっとこのまま遊んでいたいけど帰らないと。
「葵、帰るよ」
「え〜 もうちょっとだけ〜」
「また遊んであげるからさ、ほら明日も学校だし」
シュンとしてしまった葵。
申し訳ないけど明日起きられなくなっちゃうしね
「楽しかったね」
駅までも手を繋いで歩いて行った
今度は私から。
そういえば葵の言う“特別”ってどういう意味だったんだろう…
帰りの電車は
葵のことだからずっと喋ってるかなぁと思ったけど違かった
「葵?」
「理佐…ねむい…」
たしかに手があったかい、
「ん、寝ていいよ 葵くらい運べるし」
返事をしても葵の声は返ってこない。
寝ちゃったかぁ…
ほんとはもっとおしゃべりしたいけど仕方ないね
うるさいとか言っちゃうけど、葵と喋るのがほんとはいちばん好きな時間なんだから。
また遊びに行きたいな
いつか友達として じゃなくて 恋人として…
もう夢の世界へ行ってしまったであろう葵、
こんなときしか言えないもん
ちょっとずるいけど…
「葵、大好きだよ」
「理佐、あおいもだいすき」