19:00-21:30 名古屋市熱田文化小劇場 3,000円

ネタバレあります!!!
ご注意下さい!!!

 


作:吉村昇 演出:久保田明
【ストーリー】
初演時を参照↓

http://ameblo.jp/tunegon/entry-12284349117.html


後半をちょっと詳しく書き足し・・・

松江の娘千恵は同じ職場の彼氏 山之内公平を連れてきた。家族会議で全員が集まる機会にさらっと紹介するつもりなのだ。
という事は、決心してくれたの?と聞くと頷く千恵。
彼は、自分の過疎の田舎に戻り、老人が楽しく暮らせる理想郷を作りたいと思っていた。千恵と一緒に。
その為に今は福祉施設で勉強しつつ頑張っていた。千恵にとっての故郷はこの稲垣親切堂。
何もかもが別世界で上手くいくかどうかは分からないがついて行く決心をしたのだった。
梅緒も、川柳仲間だと松井祐治に送って来てもらっている。
ご挨拶をと言う祐治に、今日は大切な家族会議だからまたね、と帰すのだった。

バタバタの中、家族会議が始まる。コンビニ計画を提案し、侃々諤々それぞれが意見を述べる中一休み。
そんな時、テルが夫が庭に宝物が埋まっていると言っていたことを思い出す。
竹子にも、子供の頃父からそんな事を聞いた記憶があった。
テルは、子供たちの時代だと同意するも、親切堂だけは壊させないと抵抗する。
竹子の夫麦島建夫がコンビニの一部に親切堂を同居させるという提案で、何とか説得できたと思った時、ニュースが流れる・・・
この辺で、不発弾が発見されたというモノだった・・・

(休憩)
自衛隊が、不発弾撤去の手順を町民に説明している・・・

引っ越しの準備で居間は荷物で埋まっていた。
梅緒は、沢山の男の品定めをした結果ぴか一の彼氏祐治を連れてきたのだが、引っ越しの手伝いのハズなのにビシッと背広姿。
町内会長長谷部正太郎がやって来る。テルの夫が同級生で、お菓子屋を継いでいたのだが、店を戦争から帰ると金物屋に変えてしまった。
その理由町内会長にも分からなかった。そんな昔話をしつつで、引っ越しはなかなか進まず、松江と竹子は千恵も連れて休憩に行ってしまう。

幸次の息子達也が軍服姿で、避難指導の手伝いをしていた。軍服コスプレマニアなのだ。
特に、説明会での自衛隊員の目の美しさに惹かれたと言う。自らの命を呈して任務にあたるその姿に。
千恵の友人で劇団員の江尻真由は反論するが、達也の耳には届かない。千恵が、彼と田舎でお年寄りの為の楽園を作る為に献身する決心をした目は?
達也には、全く響かないのだった・・・
戻ってきてその姿を見た幸次が激高する。その服の意味が分かっているのか!格好いいからと、達也は部屋へと逃げていく。

テルが戻って来て、町内会長に店の商品を1つ何でも持って行っていいと言うと、会長は一番高価な圧力なべをゲットし、息子の嫁の長谷川えみに自慢する。
その嫁が急いで持ってきたのは警察からの通達。不発弾撤去の為に町内会長の協力を依頼するものだった。
そして埋まっているのが、宝物が埋まっているはずのこの庭だった。
急にテルは、動くと爆発すると、家族に動いてかん!と言うのだが、これまでずっと静かだったのだからと言われ落ち着く。
やがて、周囲に警察が、庭には監視の為の警官が立ち物々しい雰囲気になっていく。
祐治は武器を扱う商社勤務で理屈を話し、健夫が日常生活は普通で大丈夫だからと引っ越し作業を再開するのだった。

荷物を運び出した後の家にテルはまだ寝泊まりをしていた。
仕方なく幸次も一緒にいたのだが・・・
テルはここがどうして金物屋になったのかを語りだす。
夫が復員した後に作った菓子は酷く不味かったのだ。生き残る為、食べられないものまで口にし舌を殺されてしまったのだ。
だから仕方なしに金物屋になったのだ。テルは、夫の支えとなり親切堂を切り盛りしてきた。
夫が亡くなり、やがて品物が売れなくなる代わりに、色々町内の世話を焼くようになり、今の親切堂になったのだった。
それにしても、とテルは夫が何故不発弾を宝物だと言ったのかを考え続けていた。

テルは最近毎日墓参りに行き不在がちになっている。
友人の鬼頭トメさんが、オレオレ詐欺の疑いのある電話のその後の顛末をテルに直接話したいと待っていたが、待ちきれず幸次に話し始める。。
詐欺ではなく本当に、息子のカツオが妻と2人の孫を連れて帰ってきたのだ。
そう伝えるとトメは帰って行った。借金を抱える息子の為に孫の世話で忙しくなるからと生き生きと。

幸次がテルの枕の下から老人ホームのパンフレットを見つけて驚く。
やがて、建夫の依頼でコンビニを推進する家族が一堂に会する。進捗報告だと楽しみに待つ面々。
建夫が遅れてくる前に、姉妹が集合したところで幸次がパンフレットを見せる。
幸次が集めたと勘違いして攻められるが、テルが集めたものだと言うと、母の真意が分からずに戸惑う家族。
建夫がやって来て、平身低頭謝り始める。近所の空地に同系列のコンビニが出来る事になり頓挫してしまったと。
計画は夢と散ってしまい、竹子は頭を冷やすと一人で帰って行く。幸次は健夫に黙って後を追うように促す。
火が消えた空気の中でテルが帰って来る。家族会議を避けて時間を潰していたのだった。
テルは、泣きながら帰る竹子とついて行く建夫の姿を見て、コンビニがポシャった事を悟っていた。
そこで、松江は初めてテルに反抗する。
ずっと母の陰で家事を一手に引き受けて来た。今までそう考えたことはなかったが、この計画を考え始めて思ってしまった。
今までは母の言うとおりに動く家事ロボットだった。これからは、自分の意志で決断して生きていきたいと。
だから、この家はこのまま壊し、新しい家を建てますと宣言し、不発弾を掘り起こしてはいけないと、この家を出ようとしないテルに言った。
明日、この家を出てもらいます。これは、命令です。
そこへ達也が軍服姿で戻って来る。随分と役に立っていると息子を褒められ、幸次は黙認状態だが・・・
テルが、その姿を見てビンタをする。この服の意味が分かってるのか。殺し殺される為の服だぞ!
軍服を着るのも脱ぐのも自由だ!と反発する達也だが、あの時代・・・
自由に脱げたらよかったのになと、テルは哀しい心で訴え、土下座までして脱いでくれ!と叫ぶのだった。
突然空襲警報がテルの頭に鳴り響く・・・何かを思い出したように取り乱すテルは、おかあちゃん!と叫んでいた・・・
テルは、住み慣れた家から梅緒の家へと移され、今までの疲れを癒すように眠り続けた。

不発弾撤去の日・・・
テルが避難先から居なくなったと、避難手伝いをしていた達也に連絡が入る。達也は軍服を脱いでいた。
まさか家に戻った?立ち入り禁止のハズだがと向かうのだった。
テルは、居間に座り込み、夫の位牌を前に置き謝っていた。ここを守れなかった・・・
テルは、焼夷弾の降り注ぐ中、母が焼けた柱の下敷きになってしまい、子供の力では助けられなかった事を思い出していた。
そこへ父が来て、テルを逃がし、母を助けようと火に包まれた家に飛び込んでいった事も。
両親を呼び叫ぶ口に火の粉が飛び込んできて喉が焼け、自分は・・・家に背を向け、家が崩れる音を耳にしても振り返らず逃げてしまった事・・・も。
そんな両親を見殺しにしてしまった記憶を今まで封じて、心を保ってきたのだった。
そして亀次郎と結婚をし、お姑さんが立ててくれた饅頭屋、そして金物屋になり親切堂になったこの家をのんびりと守って来られたのだった。
両親への後ろめたさを思いつつ、夫の位牌に願う。
もうすぐあれは爆発するだろう・・・どうか、あなたが名付けた「親の身を切る」親切堂と、目出度い「松竹梅」の名の娘たちをどうか守ってくださいと一心に祈るおばあちゃんの姿を、探しに来た達也はただ見つめるのだった。

不発弾は無事に撤去された。その横に一緒に埋まっていたものを自衛隊が発見し幸次に渡してくれた。
それは、菓子職人の夢を諦めざるをえなかった亀次郎の菓子作りの道具だった。それが、宝物なのだった。
更地になったこの庭にテルはきっと親切堂の大切なものを埋めただろう。
人々の幸せの宝物がこの土地にはたくさん埋まっている。不発弾よりはずっと少ないかもしれないけれど・・・

取り壊しの日・・・
千恵が故郷の家を懐かしんで居間に寝転がる。
そこへ梅緒もやって来る。子供の頃の柱のキズを見に来たのだ。何年の何歳の時のかも書いてない3人一緒のキズ。
かあさんらしいと呟き、もうすぐなくなる稲垣親切堂を眺めるのだった・・・

地鎮祭の日、家族写真を撮ろうとしていた。テルは、魂が抜かれるからと頑として一緒に映らない。
松江のやる気は、マスオさん幸次に「雨にも負けず、風にも負けず・・・」の言葉を思い出させていた。
梅緒は、軍需産業の彼と決心は付きかねていたが、今でも別れてはおらず一緒にいる。
そうして、稲垣家の家族写真はテル抜きで撮られるのだった・・・


舞台は、居間。斜め舞台になっている。
正面上方に大きな「稲垣親切堂」の看板。
店と居間とを隔てる壁と廊下になっている壁は透けている。
それが不思議に住み古した木造というよりは、廃墟的?な印象にも思えた。
居間の左右に低い木の垣根?と思しき立て板が2つづつ置かれていたのだが・・・何だろう?


前回見た時よりもセットが簡素になった分、内容が濃くなった印象。
前回は、階段があったり、庭の位置が今回は観客席側の設定だが、舞台奥にちゃんと作られていたし、縁側もあった気が・・・
全編名古屋弁も変わらず笑いを誘うが、実際の家族と思わせる会話のテンポがより絶妙に笑いを誘う。
斜め舞台は、観やすさ重視なのだろうが、演じる方は大変そう。

時代背景は、第1次安倍政権時代。「千の風になって」が大ヒットしていた頃に変更されていた。
憲法9条、自衛隊、戦争、武器輸出・・・劇団として訴えたいテーマがしっかりと盛り込まれているのだが、流石に家族劇の中に組み込むには説明的になりがちであるし、突然の解説的説明の違和感は禁じ得ない。
それでも、あえて入れざるを得ない現実の実情は緊迫している。

それにしても、テルさんのエネルギーは凄い。丹念に表現した人生を背負った訴える力というモノを感じる。

エンディング曲が絢香×コブクロの「WINDING ROAD」。曲がりくねった道の先に・・・歌詞がこの家族の行く末を暗示しているのか。
家族それぞれの進む道の先に光は・・・見えるのだろうか?

素朴な疑問・・・80坪の内30坪が区画整理に引っかかってコンビニ兼住宅の3階建てを50坪に立てて、片隅に親切堂を存続し、駐車場も?
無理、じゃない(^-^;?単純に、100坪でも無理、じゃない?と思った(^┰^)。
コンビニも別のチェーンにしたら?とか。対策色々ありそうな気が(^-^;
娘たちの母への若干の反発心もあるんだろうけど。

今回の、お気に入りは、
稲垣テル、稲垣松江、稲垣竹子、かな。

阿南さん、佐々山さん、大矢さん、谷川さんとご挨拶。