14:05-16:20 愛知県芸術劇場小ホール 3,500円

ネタバレあります!!!
ご注意下さい!!!

 


音楽用語はさっぱりなので・・・パンフレットのご挨拶を読んどいて良かった(^_^;)。

作・演出:弥富又八
【ストーリー】
女性ばかりの通販会社トゥインクルネットショップは自社スタジオから、歌って踊って通販を生放送していた。
商品名を忘れた桜由里香を社長持田街子がフォローする。映像制作会社スタッフの緑川レイカットの声をかけ番組終了。
秘書課長で社長の姉遠藤道子は、毎回失敗する由里香にクビを言い渡すが、街子は次はちゃんとやってねと言葉をかける。
もう一人の映像スタッフで、かつての業界の栄華を知る元プロデューサー白鳥テルは社長を口説くが、軽くあしらわれる。
街子が次々と商品の資料に目を通していると、サプリの売り込みとソミックの社長味噌塚威と部下の佐藤啓太、潮田洋一がやって来る。
価格の面から問題外だと言うも、執拗に食い下がる味噌塚。
その間に、子供モデルのサヤカとキララが母の美寿々と一緒に来て、レイとテルと打ち合わせを始める。
誰でしたっけ?とあしらわれる味噌塚は、自己紹介から始めてさらに食い下がる。
そこへ制服姿の娘はつねが尋ねてきて、街子に1本のカセットテープを渡す。お父さんが渡して欲しいと・・・
お父さんの名前は?西山広太。そう言うと、はつねは逃げるように帰って行った。西山・・・街子は、思い出していた・・・

大学時代、マチコは友達とバンドを組んでいた。
メンバーは作詞作曲とギターのコウタ、キードードとボーカルのアキナ、ベースとコーラスのワカナ、ドラムのマチコ、マラカスのヨシオの5人。
この頃から、コウタとマチコは付き合い始めていた。何故かヨシオはコウタと何かにつけてハグをしている。
幼なじみのアキナはコウタの作る曲がとても好きで、歌は音痴なコウタの曲を書き留める役割をしていた。
新曲の音合わせをしている場に、マチコはいなかった。急な電話に出ていたマチコの様子は、何か大事が起こった様子。
曲の内容についてコウタが説明していると、マチコが戻って来た。
私、バンドを辞める!父の会社が不渡りを出したって・・・
両親とは連絡が取れず、大学を辞めて、姉と一緒に仕事を手伝って・・・先行きの不安に押し潰されそうなマチコ。
コウタ達は、落ち着いてからバンドの事は考えれば?ドラムがいなくなると困る・・・バンドの都合を押しつける。
マチコは、メンバーに反発する。社会に出るのが怖くて、プロにもなれない音楽なんて!
アキナは、趣味とかプロとかじゃなくて、音楽が好きだからやってるんだと言い返す。
マチコは、コウタの部屋でマチコが好きな曲を集めたカセットテープを見つけていた。嫉妬も相まって、マチコは言った。
私、音楽が好きじゃないかも・・・マチコは出て行った。

リハ-サル室では、音楽に合わせてダンスレッスンに励んでいる。由里香は練習では完璧なのに、本番ではトチってしまう自分に自信をなくしていた。
振り付け師のキューティーヨッシーがオカマらしくやって来て、遅刻者がいる事に激怒する。
取り繕おうとレッスンを懇願すると、きっつい基礎レッスン・・・足が上がらずプルプルする人達をからかいつつレッスンを続けていると、街子が入ってくる。
街子は、先日のカセットテープの準備をさせていると、ヨッシーが怒鳴る。歌って踊る通販番組の言い出しっぺがサボってんじゃないわよ!
仕方なしに街子も・・・プルプルするのだった。
すると、懲りずにソミックの社長が、街子が男性を苦手だと思ってと男装の部長妹尾裕子を紹介する。裕子という名で女です・・・
ヨッシーは問答無用に、彼らもひらめきの成果、ゴータマシッダールタのリズムでのダンスを強要するのだった。
運悪くやって来たサヤカもキララも、ついでに美寿々も、いつしか道子まで・・・
ソニックの社員佐藤は、その魅力に取り憑かれ、才能を開花する・・・
社員の青柳初音が、はつねの父親が病気で亡くなったと知らせ、レイが彼のテープを再生すると・・・
妙な実験的な音楽が流れる。B面も同じ様。その中に、コウタの歌声を聞き分け、ヨッシーは懐かしがる。彼(女)は、かつてマラカスのヨシオだった。
道子が街子を案じるが、案の定・・・街子はコウタの死と、彼の託したテープに動揺するのだった。
そして、はつねの母はアキナだった。街子は、はつねに話を聞きたいから来てもらうようにと言うと出て行った。
ヨッシーが道子に言った。変な別れ方をしているから・・・たまには姉らしく話を聞いてあげて、と。

ホールでは、トゥインクルネット社の会社紹介が開催されていた。
会社紹介に続いて、ダンス、キッズモデル、合唱部などの部活などをアピールをし、街子社長は挨拶で、女性ばかりの会社を強調する。
例のテープが間違って流れると、2人だけの男性社員のミスだと笑いのネタにする。
司会の青柳が引き継ぎ会社の成り立ちを説明する。父から受け継いだ会社を街子がネット通販をいち早く取り入れて成功。
その最中、随所にヨッシーの写真が映写されて・・・青柳はパニクるのだった。原稿、違わない?

ヨシオは疲れがみえるマチコを心配していた。慣れない酒の接待に翻弄され、女の武器を駆使するらしくないマチコを。
今、接待しているあいつらを・・・絶対見返してやるんだ!

ヨッシーは動揺している街子を心配していた。ソニックの連中がしつこく商談を迫ってくるが、ヨッシーが追い払う。
街子は過去から逃げているようにヨッシーにはみえた。あの日、何があったの?あの日、コウタと別れたんでしょう?
街子は言った。別れてない。別れて以来20年、会っていないけれど、街子の中では・・・別れてない!でも、コウタ、死んじゃった。
涙ぐみながら街子は出て行った。

矢田葉月は、ダバダバと作曲していた。それを、キララが笑いながら眺め、サヤカがたしなめていると、はつねも来て一緒に聴いている。
葉月はみんなで一緒に歌おうと誘い、はづきが音楽に少し詳しいと知った葉月は、はつねの父が作曲していたからと聞く。
合唱部のみんなが来て、発声練習が始まり、子供達も参加していると、街子がやって来る。
葉月はテープの解析結果を話す。ドラムとコーラスだけを録音したらしく、練習じゃないかという事と、B面は逆録音されていrんじゃないか?と。
はつねがテープを聴くと言った。家で聴いた時はちゃんとした音楽だったんです。
逆録音を元に戻して聴けないかとレイに頼むと、詳しい人に聞いてみますと出て行った。

コウタが新曲を聴かせていた。解説をしながら、ドミナントモーションの説明をする。チンプンカンプンなマチコ。
ヨシオはヘンテコな例えで理解を妨げ、ワカナも例えにのっかり、さらにチンプンカンプン。
マチコはコウタに、どうして曲を作るのかと聴いた。子供の頃、褒められたくて救った砂の城を、笑いながら壊す若者に憤った。
そして、壊れる形あるモノを作るのが怖くなった・・・だから、壊れないモノを作りたくて、形がない曲を作っているのだと言った。
コウタは曲の続きの書き取りをアキナに頼み、その他は休憩。2人の仲の良さが、幼なじみだと知ったマチコは・・・

以前、会社を辞めた音響技術者の平家正嗣が来ていた。レイがすまなそうに謝る。街子の会議がもう1時間も遅れているのだ。
平家はアナログの音を愛していた。デジタルを認めつつも音楽がデータと呼ばれるのが寂しいのだ。
テープには愛着の度合いも記録される。伸びてすり切れるまで聴き込んだテープからは、その人の音楽への愛情が感じられるのだ。
街子が来て、平家が謎解きを始める。このテープはMTRで録音されたものだと。
テープのLR、AB面の4トラックをマルチに録音出来るマルチ・トラック・レコーダー。
だから普通の機械でB面を再生すると2トラック分が逆再生される事になる。
4つのトラックを同時に再生する装置が必要で、それがはつねが聞いた機械なのだと。と、平家は自分のMTRを持参して、テープを再生した。
曲名はテープに書いてあった・・・ドミナントモーション。街子は思い当たることがあったのか、ショックを受けて出て行った。
流れていた曲が途中で切れてしまう。葉月は、いい曲ね!とはつねに言った。
平家は葉月にCDにしてやろうか?と言うと、喜ぶ葉月の一方で・・・はつねは、うつむいてしまうのだった。

コウタとアキナがMTRでドミナントモーションという新曲を聴いていた。マチコが入ってくると、何気に曲を止める。え?
差し入れを渡すマチコに、ずっと連絡が取れなかったと言うコウタ。忙しくて、と代表取締役の名刺を渡し、新しい携帯番号を教える。
新曲?と聴くと誤魔化すそぶりのコウタ・・・まだ、アキナに曲の書き取りをしてもらっているコウタにイライラがつのり、マチコは言った。
自分で書く努力はしないの?覚えようとはしないの?やろうとは思ってるんだけど・・・と煮え切らないコウタに怒りが爆発する。
大学を卒業したら?音楽で食べていくの?そのうちに・・・付合ってる相手に、よくそんな事が言えるね!
社会に揉まれて疲れ果てているマチコには、コウタの不甲斐なさが我慢ならなかった。自分を幸せにしようとしてくれる努力も感じられなかった。
誰の為にもならない曲に時間を費やすことが無駄だと言うマチコに反論するコウタ、とアキナ。
あなたはコウタの曲を好きじゃないの?前は、好きだった事もあった。今は?と問い詰められ、マチコは生きる事に、会社の事で精一杯だと答える。
そして、それ以外に今は価値を見いだせないでいた。
アキナが、コウタの曲を自分は好き。誰の為にもならない曲じゃないと言うと・・・それは、あなたがコウタを好きだからでしょ!
さっき止めた曲は?歌詞を見たマチコは、アキナの事を歌った曲だと確信した。
アキナは・・・コウタがマチコの誕生日プレゼントに贈る曲だと嬉しそうに言ったから、手伝っただけだと言った。
やって来たワカナも知っていた。マチコは・・・引けなかった。弱みを見せたくなかった。
どうすればいいか分からない。役に立たないからいらない!マチコの怒りに、ワカナは言った。
お前の苦労なんか知らない!それで、どう変わろうが、それにこっちが付合う必要なんかない!
謝るコウタに、マチコは言った。しばらく会えなくなるから。
どんなに忙しくても、会う時間くらい作れるだろう!とのワカナの言葉を無視してマチコは出て行った。
コウタは、楽譜を・・・くしゃっと潰すのだった。

葉月がピアノを弾きながら、合唱部がドミナントモーションの歌唱練習をしている。
だが、どうにも気持ちの悪さを感じている葉月。曲がありえない終わり方をしているのだ。
由里香がリードボーカルの予定なのだが自信がない。何より街子の元カレの歌、その想いをどう歌えばいいのか・・・
始めて会った・・・長い長い離ればなれ・・・思いだけ抱きしめて・・・
歌詞からは、まだ別れていない事が伺えるのだが、となると・・・不倫?はつねという子供がいたし?
事情通のヨッシーがやって来て、平家と揉める。平家が辞めた経緯には、溜め込んだ音響機材をヨッシーが蹴ったという事情もあった。
ヨッシーはこの歌の事情を説明する。学生時代のバンドの事を教えると驚く面々。社長が、ドラム!今からは想像も出来ないらしい。
街子とコウタは、あの別れの日から20年会っていないけど、街子はまだ付合っているつもりでいたのだと言うと、驚愕する面々。
奥さんのアキナはコウタの幼なじみだとも教える。では、何故曲が途中で消されているのか?
そこへソミックの面々も登場し、味噌塚の低音がコーラスに抜擢され、社員達も採用される。
と後ろから、はつねが泣きながら入って来て、母からだと封筒を葉月に渡す。
中には・・・ドミナントモーションの譜面が入っていた。その、完全版が。
はつねは母に怒られた。テープの後半を消したのは、はつねだった。
はつねはコウタに本当の父親になって欲しかった。母と結婚して欲しかった。
だから、コウタの家には時々遊びに行っていて、MTRの使い方も知っていた。
曲はコウタが思いを込めて何度も何度も書き直していたのだった。いつか、渡せることを信じて・・・でも、病魔に冒され出来なくなった。
そして、はつねが頼まれたのだった。でも、曲の後半を聴いて、哀しくて、消してしまったのだと。
だけど、母は楽譜に起こして持っていた。前に聴いたのを覚えていたのだ。好きなコウタの最後の曲を残しておきたかったのだ。
平家は、街子とコウタ、そしてはつねとアキナの為に一計を案じるのだった・・・

道子は街子を元気づけるが、街子の後悔は深かった。
街子は、あの日・・・コウタが壊れないからと大切にしていた歌を、壊した。
あの日の後悔、それをバネにがむしゃらに頑張ったのも事実だが・・・街子は、過去のコウタに謝りたいと思った。
道子は、あの歌を売り出して世界中で聴けるようにすれば、コウタの夢も叶うんじゃない?と提案する。
街子は、それでは喜ばないと、自分を罰し続け、涙を見せる。道子は、街子の懺悔を優しく抱きしめるのだった・・・

トゥインクルネット創立記念日放送が始まった。道子が挨拶をし、社長の街子が感謝を述べる。
子役から、ソミック社からの花束贈呈に続き、合唱部が登場する。
そして創立記念としてオリジナルソングが披露される。葉月の指揮で、流れてきた曲は・・・ドミナントモーション♪
驚き動揺する街子。そして、本番で失敗する・・・由里香。一時中断し、別映像を流す。
歌えるのは・・・街子だけ。再開するも・・・歌えない由里香。歌詞を小さな声で伝えようとする街子に、マイクを渡す由里香。
お願いします!戸惑う街子。背中を押す道子とヨッシーに促され、舞台中央に歩み出た街子は、静かに歌い出す。
始めて出会った・・・思いだけ抱きしめ♪
街子が知っていた歌詞はここまでだった・・・が、合唱部が曲の続きを歌い続ける。驚く街子に、はつねが歌詞を渡す。
由里香が歌い出す。芝居?
街子は歌詞を読み、驚き、涙が溢れ出す。あの日以来の、コウタの思いが、そこには溢れていた・・・
いつかまた会う日が来たら この言葉で伝えよう。今もあの日と同じ気持ちでいるってことを♪
繰り返されるコウタの言葉に、街子は感謝と愛を心に刻み歌うのだった・・・
コウタ・・・いい曲だね!ありがとう!


舞台は、奥に段。中央が低く正面に降りられる階段。


素直な物語に、素直に泣けるミュージカル。
意地っ張りな後悔の20年、優しく思い続ける心を聴いて、止まった時が動き出す淡い恋の物語。
下らない意固地で言ってしまった後悔は山ほどあるし、そのまま壊れた関係は誰しもが思い当たるだろう心情を重ね合わせる。
最後の歌への展開は、分かりすぎるほど分かるのに、コウタの思いが込められた歌詞の心が伝わり、さらに街子の後悔の思い出が見事にフラッシュバックして泣けた。
不安定な心(属和音)ですれ違ってしまった恋が、過去の今の心を伝えるテープというドミナントモーションによって、主和音・・・本来のお互いの思いに気づくお芝居。

ヨシオの奇異さが、いつのまにやらハズかしくない個性になって、笑いを一手に引き受け、お見事。
本気でキャストも笑ってるのが分かる、かき回しっぷり。

帰りの地下鉄を待つ時に頭にリフレインしたのは、何故かJUJUの「やさしさで溢れるように」。
♪あなたを包むすべてが ♪やさしさで溢れるように
そんな気持ちにさせてくれるお芝居でした。

ただ・・・結局コウタとアキナは結婚してたのかが少し曖昧のままで流れて行ったのが気になった。
はつねが、父さんと呼ぶ父はコウタなのか?
だとすると、コウタに本当のお父さんになって欲しかった、との言葉が矛盾で疑問。結婚はしていなかったという意味?本当の父は別人?
曲を書き取った時の、はつねが出入りしていた時のコウタとマチコの関係は幼なじみのままだったのだろうか?
何度も曲を書き直して死ぬ間際の録音だとすると、アキナが最終録音の楽譜を書いた時のコウタとアキナの関係は?2人の心情は?
と、コウタ、アキナ、はつねの時間軸と関係性、そして思いがスッキリしない。
とまぁ、そんな背景は置いといて、クライマックスの歌では感極まる盛り上がりで涙。

生放送でドッキリとはいえ身内話を流すのは、しかも歌えない(演技だとおもうけど)失敗を計算尽くとはいえ放送するのは・・・
いかがなもの?という野暮は置いといて。
放送終了後、賛否両論と、どういう事?の問合せ、そして、あの歌は視聴者の要望により発売され、コウタの夢は現実となるのだろうと後日譚を想像するのは楽しいけれど(^_^;)。

今回の、お気に入りは、
持田街子、ヨシオ、マチコ、矢田葉月、キララ、桜由里香、アキナ、かな。

台本購入(1,000円)。

佐々木さん、杉野さん、沙織さん、桃子さんとご挨拶。

そういえば・・・前回予約注文したブルーレイ「廃棄場の・・・」がまだ届かないなぁ(^_^;)。