よく「天は二物を与えず」と言うが、私の周りを見てみても、二物を持っている人はたくさんいるし、そういう人は二物どころか三物も四物も持っている。

 

今まで世界数か国で暮らし色々な人に出会ってきたが、日本人だけに限らず、どこの国でも大概そうだった。

天は完全に二物を与えている。

 

しかも、出来る人ほど三物も四物も持っている。

 

 

先日友人の紹介で会ったA美さん。

出会った瞬間「わ、なんかキラキラしてて可愛らしい人」と思った。

40代半ばのふっくらした普通のおばさんだが。

その人は、子供がまだ小学生なので仕事を辞めて今は専業主婦をしているそうなのだが、肌も髪も爪も綺麗に整えられていて、服もシンプルなのにちょっとお洒落でA美さんにとても似合っていた。

話を聞くと、どうも料理も上手らしく、他にも裁縫や編み物も得意で、自分でアクセサリーなども作るそう。

話も面白いし身のこなしもスマートで、見るからに頭も性格も良さそう。

言葉の端々に品があり、おまけに字もキレイ。

旦那さんは車のエンジニアをしているそうだが、A美さんは専業主婦なので「生活に余裕がないのよ~」なんて言っていて、確かに金銭的にはそれほど余裕があるわけではないだろうが、A美さんの人柄を見ていると、日々丁寧に暮らしているのがよくわかる。

節約とかも上手そう。

というか、なんでもちゃんと上手にそつなくこなしそう。

 

その一方、A美さんと会った時に一緒にいた別の友人B子。

彼女とはもう5年くらい知り合いだが、初めて会った時から「うわ、なんかひとクセありそう・・」と思っていた。

 

B子はA美さんとほぼ同じ歳だと思うが、人となりはほぼ真逆。

言葉使いは下品だし、いつも人の悪口や陰口ばかり言っている。

「あの人、いっつも同じ服着てて貧乏くさいわ~」とか「この前うちに来た時くつ下に穴が開いてたのよ」とか言っている割には自分もいつも毛玉だらけの安そうなセーターを着ているし、そもそもファッションセンスがダサい。

「あの人、田舎者だから」とか「あの人のダンナさん、給料安いらしいよ」とか平気でみんなの前で言うが、どう見てもB子の方がダサくて田舎者みたいだし(実際は横浜出身)、B子のダンナだって別に給料が良いわけではない(なんなら普通の「労働階級」)。

おまけに字は汚く、裁縫や工作なども全く何もできないらしいし、料理もいまいち、髪型もいつも後ろでギュッと結んだひっつめでヘアアレンジやネイルなど自分で何もできないほど不器用。

髪はごわごわで剛毛、ムダ毛も多くて気になる。

いつもスッピンなので乾燥肌なのか肌も汚いし、最近シミも目立つ。

どこを取っても「素敵」要素がない。

 

B子もその時A美さんと初対面だったのだが、キラキラしたA美さんが気に入らなかったようで、「え、A美さんてあそこの町で暮らしてるの? えー、何もないからつまらないでしょう?」「なんであんな面白くない町で暮らそうと思ったの?」とA美さんにズケズケ聞いていた。

A美さんが住んでいる町は確かに何もない小さな町だが、茅葺き屋根の可愛い家が多く並んでいて「小さくて美しい町」とこの辺では結構有名で観光客がよく立ち寄るような所。

B子が暮らしている町の方がただの住宅街で100倍面白くない。

A美さんはB子のイヤミな質問にも嫌な顔ひとつせず、「まぁ確かに何もないけど、人もいないし、静かでのどかで良いよ~」と答えていた。

すると周りの他の友人が「A美さんの町、おとぎ話に出てくる町みたいで可愛いよね~。川も流れてて綺麗だし、私よく家族で散歩に行ったりするよ~」とか、「そうそう、あそここの前『小さくて美しい町』だったか『訪れた方が良い町』10選かなんかに選ばれててローカル新聞に載ったらしいよ」と言い始め、バツが悪いB子は「あ、まぁ、確かにそうかもね。自然に囲まれてて静かだよね~」と最終的には賛同していた。

 

本当にダサい。

 

誰ももちろん口にはしないが、恐らくその場にいたみんなが思っていたと思う。

 

 

A美さんは誰がどう見ても三物も四物も持っている人。

突出したものはないかもしれないが、すべてにおいてバランスが良い。

B子は三物四物どころか二物もない。

何をしても冴えない。

いわゆる「ブス」。

 

痩せているとか太っているとか、顔が可愛いとかかわいくないとか、そういう次元の「ブス」ではなく、人間的に「不細工」。

 

日本にも「ブス」は多いだろうが、やっぱり海外在住日本人の「ブス」は目立つ。

元々人数が少ない上に小さなコミュニティなので、その中で「出来る人」と「出来ない人」の差は顕著。

 

 面倒なので、私は美人ともブスともなるべく関わらないようにひっそり生きている。