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つながりで支える

人と人とのつながりを大切にする臨床心理士の思いを綴ります。

ワイン展

 今日の東京は寒かったです、雪が積もり大荒れの天気でしたね。年末年始から暖冬続きでしたが、いよいよ本格的な冬の訪れということでしょうか?

 さて昨日の日曜日、かねてから行こうと思っていた国立科学博物館の「ワイン展」に行ってきました。趣味のイタリア料理を始めてから、ワインが大好きになりました。もともとあまりお酒は飲まない方だったので、ワインを飲むこともほとんどありませんでした。せいぜい宴会の時にビールや甘いカクテルを飲むくらい。
 
 それがイタリア料理を始めてからというもの、ワインの魅力にとりつかれてしましました。私にとってのワインの魅力は、単体としてではなく食べ物の美味しさを引き出す存在として発揮されます。一本千円以下の安いワインでもいい、チーズや焼きたてのフォカッチャと一緒に飲むと、他に何もいらないというくらい美味しく感じます。香ばしいフォカッチャがあれば、ボトル一本は空けてしまいます。

 さて、そのワイン展、派手さのない企画でしたがワインの歴史や製造過程などがわかりやすく展示されていて、私にとってはとても楽しめるものでした。子供連れにはちょっと退屈だったかもしれないけれど、妻と二人でゆっくりと見て回りました。

 自宅に帰っての夕食は和食でしたが、やっぱりワインが飲みたくなって白を一本開けました。あのワイン展を見た多くの人が、今頃ワインを開けているんだろうなあと想像しました。見た目にも美しい宝石のようなワイン、まさに奇跡の一滴ですね。平日は我慢して、また来週末に素晴らしい時を楽しみたいと思います。
  土曜の休日、朝から気持ちのいい青空が広がります。外に出ると肌寒いですが、日向を歩くとポカポカと暖かくなります。

  全身で太陽のぬくもりを感じ、鼻から吸い込む冷たい冬の空気を感じ取る。これがマインドフルネス、まさに今この瞬間を生きていることを感じます。

  さて昨日仕事でアメリカ人とのミーティングに参加しました。今の時代恥ずかしいのですが、私は英会話が大の苦手です。受験英語は勉強しましたが、その後は何かと言い訳をして逃げてきました。幸い仕事の関係ではこれまで、直接外国人と接触する機会はほとんどなかったので、あまり問題になることはありませんでした。

  しかしそれが現在のポストでは、どうにも逃げられなくなってしまいました!これはえらいことになりました。

  多少の準備をして腹を決めてミーティングに臨みました。幸い通訳がいたので、ミーティング自体は問題なく進行しました。それでも私の緊張は半端なものではありませんでしたよ。

  でも途中で気づいたのです、語学は苦手でも私はこの領域の専門家であり、胸を張って自分の意見を言うべきだということに。さらに私は英会話ができないことで、どれだけ自分が卑屈になっていたかということにも気づきました。

  そのことで一気に気持ちが楽になった私は、これからでも遅くない、もう一度勉強して彼らと直接コミュニケーションを取りたいと思いました。

  ネガティヴな環境の中で、ポジティブな視点を持つことで、新しい視点にたどり着くことができた今回の体験は、私にとって本当にまさに驚きでした。私は今回の体験は、きっと最近マインドフルネストレーニングに取り組んでいるからなのだと思います。不安や自己嫌悪などの感情にとらわれず、今この瞬間を意識することができたからこそなのだと思っています。

 最近マインドフルネスに凝っているつながりです。マインドフルネスとは、今この瞬間の意識を大切にすることです。普段私たちは「意識して生きているつもり」になっていますが、実際にはそうではなく色々なことに心奪われながら生きています。例えば本を読んでいても、テレビを見ていても、日中あった嫌なことや明日の仕事の段取りなど、様々なことに心奪われながら何となく自動的に行動しています。

 そんな時マインドフルネスのトレーニングでは、呼吸に意識を向けることで今この瞬間の意識を取り戻します。呼吸は自律神経が司る活動の中で、唯一ある程度自分の意思でコントロールすることができます。そして呼吸は一秒一秒、その瞬間の変化を続けていますから、そこに意識を向けることはそのまま「今この瞬間」に意識を向けることになります。そして今この瞬間に意識を向けることは、様々な物事への囚われから、一瞬だけ自分自身の意識を取り戻すことにつながります。

 それは思った以上に大きな効果をもたらします。大変な状況のもとで緊張や不安のあまり、頭が真っ白になってしまっても、少しだけその中に自分の意識を取り戻すことができたならば、完全に混乱してしまうようなことは防げるのです。

 さて私たちは日々たくさんの人と出会いますが、いったいどれくらい本当の出会いを経験しているのでしょうか?たとえ物理的な意味での出会いを体験していても、その瞬間にお互いがしっかりピュアな意識を保てていなければ、それは本当の出会いとは言えないのではないでしょうか?

 一期一会とは、茶の世界で主人と客がその出会いを生涯に一度のものと捉えて、真心を尽くすことを言うそうです。日常生活や仕事で多くの人と出会う私ですが、その瞬間の出会いを大切にしなければならないと思いました。またその意味では、普段からいつも行動を共にする人でも、日々新たな出会いを重ねていると考えることができます。家族や友人、そして同僚など、当たり前のように触れあっている人々とのつながりを今一度みつめ直してみようと思いました。