学校や児童福祉施設など、子どもに関わる現場に25年いました。

その中で、何度も感じたことがあります。

同じ子どもを見ていても、
小さな変化に気づける大人と、気づけない大人がいる。

これ、優しさの差ではないんです。


■ 「よく見ている」から気づける

今日はいつもより口数が少ない。
朝、玄関で少しだけ立ち止まった。
ごはんの食べ方が、いつもと違う。

こういうことに気づけるのは、
その子を、たくさん見てきたからです。

私たちは、たくさん見て、たくさん比べたものについてだけ、
細かい目盛りを持つようになります。

心理学では「知覚的専門性」と呼ばれています。


■ だから、お母さんお父さんは強い

学校の先生は、40人の子どもを見ています。
私のような相談員も、たくさんの子どもに会います。

でも、ひとりの子を毎日見ている時間は、圧倒的にご家庭のほうが長い。

「なんとなく、いつもと違う気がする」

この感覚は、根拠がないように思えて、
実はいちばん精度の高い情報だったりします。

私は面談で、保護者の方のこの一言を、かなり大事にしています。


■ ただ、これには裏もあります

近すぎると、逆に見えなくなることもあるんです。

毎日見ていると、少しずつの変化は分かりにくい。
「前からこうだった気がする」になってしまう。

だから、たまに会う祖父母や、久しぶりに会った親戚が
「あの子、少し痩せた?」と言うことがある。

どちらが正しいという話ではなくて、
見え方が違う、ということだと思います。

 

 

 

 

 

■ 気づいたあと、どうするか

もし何か気づいたとき、
「どうしたの」「何かあったの」と理由を聞きたくなります。

でも、その子自身も理由が分かっていないことは、よくあります。

言葉になっていない、もやもやの状態。

そこに「どうして」と聞かれると、
子どもは答えを作らなければならなくなる。

だから最初は、理由ではなく体を聞くほうが答えやすいです。

「なんか、眠そうだね」
「お腹、痛くない?」

体のことなら、子どもは答えやすい。
そして体の訴えは、心の状態を教えてくれるサインでもあります。


■ 気づける自分を、責めないでください

「気づいてあげられなかった」と話される保護者の方に、
何度もお会いしてきました。

でも、毎日を回しながら、すべてに気づくのは無理です。

気づけたときに、気づけただけでいい。
それだけで、十分すぎるほど見ていると思います。

 

 

 

 

 

今回の動画は、じつは車の話から始まります。

「同じに見えるもの」と「違いが見えるもの」の話です。
子育ての話は出てきませんが、根っこは同じことを話しています。

https://youtu.be/dh1xiEkCMwY?si=kDFPtZZjI8qu9uRR


なお、この記事は一般的な情報で、個別の診断や助言に代わるものではありません。
体の症状が続く、眠れない、食べられないといったサインがあるときは、
学校のスクールカウンセラーやお住まいの教育相談窓口、
かかりつけの小児科などに、早めにご相談ください。

相談は、大げさなことではありません。
早いほうが、選べる道が多くなります。