こんにちは ツナカンです。 ふだんは子育て支援機関でカウンセラーをしています。

 

ご家族が脳のケガをしたり、 もの忘れが気になって検査を受けたりしたとき、 

 

「検査の点数が上がったから安心だ」 と思ったことはありませんか。

 

実は、そこには心理学の専門家が とても気をつけて見ている「落とし穴」があるんです。

 

今日は、リハビリの効果を正しく見極めるための 「脳の検査の受け方」についてお話しします。

 

検査を受けるタイミングの難しさ

脳のケガや病気のあと、 どのタイミングで検査を受けるかは とても重要です。

 

受けてすぐの検査は、 これからどんなリハビリが必要かを 決めるために役立ちます。

 

でも、お仕事への復帰や、 事故のあとの公的な書類に使う場合は、 

 

すぐに測ったデータでは不十分なこともあるんです。

 

脳の回復は、半年から1年半くらいかけて ゆっくり進んでいくからなんですね。

(山下, 2017)

 

 

 

 

 

「練習効果」という不思議な現象

ここで気をつけたいのが、 「練習効果(れんしゅうこうか)」です。

 

これは、同じ検査を何度も受けているうちに、 脳の状態が良くなったわけではなく、 

 

単に「検査に慣れてしまった」ことで 点数が上がってしまう現象のことです。

 

特に、以下のような検査で起きやすいと言われています。

 

・パズルを解くようなスピードが大事なもの 

 

・答えが一つしかないもの 

 

・珍しい動きをさせられるもの

 

「この問題、前に見たことがある!」と 脳が覚えてしまっているんですね。

 

専門家はどうやって「慣れ」を防ぐのか

点数が上がったのが、 「本当の回復」なのか「ただの慣れ」なのか。

 

それを見分けるために、 現場ではいくつかの工夫をしています。

 

1. 別の問題を用意する 

 

同じ難しさで、内容が違う問題を 入れかえて使う方法です。

 

2. 統計で計算する 

 

「これくらいの点数の上がり方なら、誤差の範囲内だな」 と、数字を使って冷静に判断します。

 

3. 最初に2回テストする 

 

リハビリを始める前にあえて2回テストを行い、 

 

「慣れ」による点数アップを先に済ませておく、 という高度なテクニックもあります。

 

 

 

 

 

「慣れ」も大切な情報になる

ただ、この「慣れ」が起きるということは、 

 

「新しいことを覚える力が残っている」 という証拠でもあります。

 

だから、専門家は点数だけを見るのではなく、 

 

「どうやって慣れていったのか」というプロセスも 大切に観察しているんですよ。

 

もし、ご家族の検査結果について 「これって本当に良くなっているの?」

 

 と不安になったときは、 遠慮なく担当の心理士に聞いてみてくださいね。

 

「一緒に、今の状態を正しく理解する方法」を 探していきましょう。

 

 

 


【参考】 山下(2017)心理学者から見た神経心理学的評価,認知神経科学Vol.19 No.3/4