50代に入ってから、思うところあって、それまで30年近く続けてきた事務の仕事を辞めて、介護の資格を取って特養に就職したのが3年ほど前。
そのあとすぐに、妹も介護の資格を取って事務の仕事を辞めて、グループホームに就職した。
一番大きい理由は、子供のいない伯父伯母夫婦が要介護状態になって、特に伯母が認知症を発症していたこと。
その伯父が意識不明になったとたん、伯父の兄弟たちが通帳を勝手に持ち出して現金を引き出し、認知症の伯母に経済虐待的なことをし出したこと。
これは、後見人制度や介護保険のことを勉強しなければだめだと思った。
それ以外にも、都心に1時間近くかけて電車通勤することが、そろそろ体力的にも精神的にもきつくなっていたこともある。
あの、満員電車の赤の他人と密着した状態で数十分~1時間近く過ごす空間は、普通に考えたら異常だったし、往復で2時間の時間を費やすことが無駄な事のように思えてきたから。
妹も同じ気持ちだったらしい。
私も妹も仕事でパソコンを使うことが当たり前だったので、エクセルやワードの文章や表を作成するのには、全く抵抗がない。むしろ、エクセルで自分の知らない関数を、ネットで検索して思い通りの計算式ができると、うれしくていろいろ調べたりするのが好きなくらい。
だから、介護の現場のアナログなことに正直びっくりした。
まず、「パソコン」と聞くとそれだけで拒否感を表す人が多い。
職場の書類は”コピーのコピーのコピーのコピー”みたいなものばっかりで、「原本はどこに保存されていますか?」と聞いても、誰も知らない。
利用者の名前が入った書式は、利用者の出入りや部屋の変更が多いので、「あまりコピーせずデータを修正してその都度印刷してください」と言っても意味が通じない。ステーションには、コピーした書類が常に30枚ほど置いてあって、利用者が入退院したり、部屋が変更になったりすると、修正テープで名前を消して、手書きで書き直している。
パソコンのショートカットも知らない。
データをクラウドに保存することも知らないので、みんなデスクトップにデータを保存する。
それをさらに誰かがコピーして保存していくので、どれが最新版かどれが現在必要な書式か誰も分からない。
デスクトップに雑然と並ぶ数十個のフォルダだの書式だのを見ていると、吐き気がする。
妹は、ほかの職員に「デスクトップにはショートカットを置いてください」と言って理解してもらえず、「どこでもドアーです」と説明したらしい。
Wi-Fiの環境が良くないので、「ルーターはどこですか?」と聞いても、「ルーターって?」って聞き返される。
報告書などは、原本をコピーして手書きで書いて、それを事務所用、看護師用、〇〇用、××用、などと言って複数枚コピーして、配布している。このペーパーレスの世の中で。
そのすべてに憤りを感じても、自分一人じゃ解決できないよね~、と妹とよく話す。
今の職場で仕事を続けるためには、ある程度目を瞑っていかないと精神的に持たないから、あまり強くは言わないけれど、パソコン苦手って意識は、絶対にやる気の問題だと思う。
だって、みんな生まれたときに携帯電話あった?
今の10代、20代ならそうかもしれないけれど、30代以上ならスマホなんてなかったはずでしょ。
それを、フリック入力覚えて、ネットでショッピングしたり、アプリ入れたり動画見たりできてるじゃん。
介護の現場が特にそうなのか、ほかの職種でもこんなにアナログなところってあるんだろうか?
年齢は言い訳にならないよ。
だって、今の職場で私が一番年上だもん。