宮城県仙台市で行われた
アートミーツケア学会にて
『高齢者介護施設での楽つみ木実践報告』を行いました。
木楽舎つみ木研究所の荻野さんと一緒に出席しました。
アートミーツケア学会2010年度総会・仙台大会のご案内
http://popo.or.jp/artmeetscare/news/2010/10/2010-1.html
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楽つみ木特使・東北・パピークラブ
ホームページ http://www.geocities.jp/tumikihirobatouhoku/
担当:太田
FAX 0172-36-7785
メール http://form1.fc2.com/form/?id=618905
グループホームにおける積み木慰問ケアによる変化のようす
【 グループホームの案内 】
○入居者の対象は、医師による認知症の診断があり、65歳以上で要介護支援度が様支援2以上で、少人数での共同生活に対応できる方。また常時医療面での治療の必要がない方。
【 グループホームの概要 】
○平成18年3月27日 開設
○認知症の進行緩和を図るために、母体である製剤薬局と協力医との連携による「漢方薬」、生活内での「脳、運動リハビリ」、「アロママッサージ」を3本の柱に揚げ支援している。
○全室個室 (トイレ・洗面所・ベッド・収納タンス・床暖房完備 )
【 入居者の情報 】
○入居者数:9名×2ユニット=18名, 男性;4名, 女性;14名
○最低年齢:74歳, 最高齢者:97歳, 平均年齢:82.1歳
○要介護度1:1名,要介護度2名,要介護度3:5名,要介護度4:3名,要介護度5:2名
○平均要介護度:2.9
【 実施内容 】
○第1回 H21.5.4(1・2ユニット入居者18名)
1ユニットの居間にて食卓テーブルを全撤去し、床一面に赤じゅうたんを敷き実施。初回という事もあり、すぐに創作開始に動けずに周囲の様子を伺う方が多かった。説明を繰り返しながら共に行うことで半数の方が創作出来た。残りの半数の方は、創作まで至らずに積み木との触れ合いを実施した(積み木を手に持つ・においを嗅ぐ等)。
※コメント
初回の試みであったが、想像していた以上に「木の香り」に触れ合うことに対して、良い反応を示していた。全員の創作まで至らなかったが、素晴らしい体験をする事が出来た。
○第2回 H21.7.20 (1・2ユニット入居者18名)
床に座りながらの作業が困難な方もいた為、居間の一角に食卓テーブルを配置し床と併用して実施。
床への移動の困難さにも関わらず食卓テーブルの利用者が多かった。
※コメント
前回の実施を鮮明に記憶していた方が若干名、薄っすらと記憶していた方が数名いた。その為か半数の方が創作開始までスムーズだった。残りの半数の方もスタッフの関わりにて創作する事が出来た。また、数名の方は、太田氏の促しにて大がかりな創作を行っていた。
○第3回 H21.8.29 (1ユニット入居者9名)
より積み木ケアを充実させる為に、入居者が行いやすい環境として場所を食卓テーブルに変更し、またユニット毎で実施日を分けて試行してみた。
※コメント
床での実施場所に比べて座位姿勢が安定している為か、前回よりも積み木に集中ができ、作品も大きくなっていた。前回と比べて、殆どの入居者が実施を行えていた。
○第4回 H21.10.14 (2ユニット入居者9名)
入居者の変化・気付きが多くみられ始めた。
*入居者T氏 (91歳、女性)は積極的に創作を開始。前回の実施に比べて積み木を使う量も増え、途中より「これはビルディング」と創作内容を明確にして取り掛かる。その後、高く積み上げたビルの横にアレンジを加え、「そばを高速道路が通りビルの間をトンネルが通っている」と話す。
完成させるとまたその横に「船」を作る等、発想豊かにとても活き活きと行う様子があった。
*入居者M氏 (85歳、女性、脳梗塞後遺症により四肢に可動域制限あり。特に右上肢の肘関節・手指の拘縮が強く手の位置が左胸部に固定がちで生活全般の動作に介助を要す)は開始前に日常的に行っている首・背部の筋膜マッサージ、両上肢の可動域訓練(ROM)を行ってから、スタッフがマッサ-ジ実施。まず初めに、可動域制限の少ない右手で行う。可動域制限が少ないと言っても、自動動作が余り多くない為、スタッフが手全体を包むように支えながら行う。積み木を積む事が出来るまでに数度繰り返すも、できてからはその後の動作も比較的スムーズに行えている。積み上げる時も同様の声掛け・援助法で動作を繰り返す度にゆっくりとわずかながらの自動動作が見られる。左手においても、同様の援助法で実施。右上肢に比べて拘縮あるも、微かな自動動作あり。結果、8段位の高さまでの積み上げ可能だった。また、自分で出来た事に「うわぁー」と感情が高まり号泣する様子があった。
※コメント
発想力豊かに創作される方も多数見られた。通常の生活内でも活き活きとした場面が見られる事もあったが、これほど浮き彫りになったのにはとても驚いた。
また、生活全般に支援を要する方について、再度、自分で出来る事の自信・嬉しさを共感できた事と、楽しみの効果を体験する事が出来た。
○第5回 H22.3.13 (1ユニット入居者8名、2ユニット入居者7名)
新型インフルエンザの発症もあり約5ヶ月ぶりに実施となる。前回で発想力豊かに創作された方
*入居者T氏 (91歳、女性)は計3作品を更に発想力豊かに創作されている。
*入居者S氏 (82歳、女性、パーキンソン症候群の既住から歩行時も早足・前傾姿勢が強く転倒の リスクが非常に強い。日頃の手指動作も荒く雑な様子)は開始直後、積み木の促しに首を左右に振り実施するまで暫く時間を要するも、スタッフの意欲を高める声掛けと感心できる環境への配慮にて、慎重に高くまで積み木を積み上げる事が出来ている。また、周囲の他入居者やスタッフから誉められると照れ笑いしながらも意欲が増している。初めは椅子に座位のままで行うも立ち上がらないと出来ない位まで高さが増し、終盤は立位で行われている。終了後は、創り上げた作品を崩す事がとても残念な様子で、上段から全体が崩れない様にゆっくりと取り除いていた。
※コメント
入居者S氏 (82歳、女性)に対して、握力低下も見られている為、日常内で手指を使っての運動リ ハビリを取り入れているが、日常作業と比較して、今まで見た事のない慎重さと器用さが見受けら れた事に驚いた。
≪総合感想≫
積み木ケアを取り入れてみて、生活内の楽しみ・想像、集中できる時間作り・懐かしい木との触れ合いの時間が持つ事ができている。また、認知症の緩和ケアに共感する事ができた。楽しみにされている方も多数おり、私たちスタッフとしてもケアの一環として根づき浸透して行けるように取り組んでいきたいと考えている。
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楽つみ木特使・東北・パピークラブ
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担当:太田
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