もうこれきり書くことは無いと思っていた。でも、どうしても納得が出来ないことばかりが出てくる。妻の死亡届の件、私と元妻が暮らしていた家の件、私の両親や兄の家族の態度、更に一緒に住んでいる恋人の様子までもが何かおかしい。
これら訳の分からないものを整理するように、これから少しずつ書いていこうと思う。
もうこれきり書くことは無いと思っていた。でも、どうしても納得が出来ないことばかりが出てくる。妻の死亡届の件、私と元妻が暮らしていた家の件、私の両親や兄の家族の態度、更に一緒に住んでいる恋人の様子までもが何かおかしい。
これら訳の分からないものを整理するように、これから少しずつ書いていこうと思う。
失踪して7年たてば、死亡届が出せると聞いたことがある。妻とAが消えてから7年だ。私は妻の死亡届を出すつもりでいる。
これを綴ったのは、妻との記憶を整理し、いなくなった状況を確認するためだったが、いなくなったその日の事を思い出そうとすると、興奮しすぎていた為か記憶が混乱したり飛んでいたりして、うまく思い出せない。でも、もう終わったことだ。無理に思い出す必要がないこともあるだろう。
結局7年の間、妻とAは一度も連絡をよこさなかった。誰にも行方は分からない。偉そうな事を言っていたわりには、慰謝料や養育費も一銭も払わずに逃げたのだ。奴等は、そんなもんなんだ。
子どもは私の実家で育ててもらっている。仕事と育児の両立は無理だろうからと、親が言ってくれたのでそうした。
私は今、田舎から出て働き、生活している。恋人も出来た。私は早く妻との記憶を忘れて、新しい人生を送りたいと願っている。
「やめて」
妻はぐしゃぐしゃの泣き顔で私に飛び掛ってきた。私は、それを突き飛ばした。
「あぐっ」
妻は柱に背中を打ち付けておとなしくなった。
「なんて…ことを…」
Aが言い終わらないうちに、わたしはAに馬乗りになって殴りつけた。
「うるさい」
…あんたは、いくじがないから…母の声が頭の中で響いた。その声に色々な人の声が重なっていく。
…お兄ちゃんは優秀だったぞ…もう少しなのにね…お前がいると負けるから…もっと男らしく出来ないのか…調子ばっかり良くてさ…うそつき…誠意を見せろ…逃げたでしょ…
「うるさい!うるさい!!うるさい!!!」
私はAを殴り続けた。拳の痛みが無くなっていく。
…覚悟は出来てる?…
「うるさいんだよ!」
音がやんだ。
私は血液と泥で汚れたまま裏庭に立っていた。Aも妻もいなくなっていた。