トゥルム（当時は、トゥルムではなくZamaと呼ばれていた）は
マヤ時代の終焉、後古典期後期（紀元後１２００−１５２０年）ぐらいに
繁栄期を迎えたと言われています。
１５１８年４月、スペイン人のフアン・デ・グリハルバ探検隊が、
４隻の船でキューバを出発した後、コスメル島を発見し
その後、トゥルムのカスティーヨを海から見たという記録があります。
この当時、トゥルムはまだ都市としての機能を果たしていたと思われます。
ただし、スペイン人たちは、その場では上陸せず、
建造物を壊して拠点にするようなこともしなかったので、
遺跡は破壊されることなく
そのままジャングルに埋もれていきました。
なぜ、Zamaの都市から人がいなくなったかは
明らかではありませんが
おそらくスペイン人が持ち込んだ伝染病などが原因だったのでしょう。
放置されたZamaが、再度発見されたのは１８４３年に
ジョン・ロイド・スティーブンスと、フレデリック・キャザーウッドによる探検の時です。
当時の絵を見ると、完全にジャングルに埋もれているので
１５００年代後半に、人が消えてしまってからは
誰も住んでいなかったのでしょう。
その後、１８４７年からカスタ戦争という
マヤ民族の植民地統治への反乱が起こり
その時に、トゥルム遺跡は、反乱軍の拠点となりました。
このカスタ戦争は、元々は
フェリペ・カリーヨ・プエルト市が拠点でしたが
トゥルムは、第二の拠点という感じだったようです。
１９０１年に戦争は終結し
（当然ながら、植民地政府に抑え込まれてしまった）
その後、遺跡の修復なども始まって
トゥルムに街らしきものができ始めたのではないかと思います。
なぜ、遺跡周辺に街ができなかったのかはわかりませんが
（マングローブの林で地盤が悪かったのかも？）
遺跡からは、５キロメートルほど離れたところに
人が住み始めました。
トゥルムの街にやってきた
最初の「入植者」という人たちに話を聞くと
（本当に最初だったかどうかはわかりませんが、
私の知り合いのうちの何人かは、
「私のファミリーは最初の入植者」というんです。笑）
最初にトゥルムの街の聖地となったのは
「Cancha Maya（カンチャマヤ）」と呼ばれる場所です。
地図的にはこちら。
トゥルムの市役所、広場、教会があるところとは
ちょっと離れた場所にあります。
こちらがカンチャマヤにいくためのメインロードと
そこに聳え立つ御神木
この木、私がトゥルムに来た頃は、
立派に、道の真ん中に聳え立っていました。（２０１４年３月）
でも、何があったのかわかりませんが
今は枯れ木になってしまい残念です・・・。
そして、こちらがカンチャマヤ
建物の中に御神体？みたいなものがあると言われていますが
周りは広場になっていて
縁日などが行われる会場となります。
周りに教会はありませんが、一応十字架が立っています。
普段は、特に、見るべきものがないただの広場ですが
一応、トゥルム市内では
「最も聖なる場所」として
尊重されているところです。
謝肉祭や感謝祭の時には
縁日が出て非常に賑わっていましたが
コロナになってからは、
どうなったのかわかりません・・・
こちらは２０１４年当時の縁日の様子
なんで、「今はどうなっているかわからない」のかというと
この辺りはあまり治安がいい場所ではないので
普段は避けて通っているからです。笑
（今回、久しぶりに来ました！！！）
＊＊＊
実は、私が、まだトゥルムに来たばかりの時
「マヤの聖地の近くなんて、素敵じゃない！」と思って
この辺に部屋を借りてしまいました。
まさか治安が悪いとは思わなかったので・・・。
私が借りた家は、とても綺麗で
可愛らしい物件だったのです。（２０１４年当時の写真）
しかも、その家主さんというのが
トゥルムに最初に来たファミリーのうちの一つ・・・という話で
この辺りにたくさん土地を持っており、
自分が所有するセノーテとかに
よく連れて行ってくれました。
こちらが当時、家主さんが所有していたセノーテのうちの一つ。
今は、売ったのか、もしくは貸しているのかわかりませんが
ドラッグ関係のパーティーに使われる
Rave専用の施設になってしまいました・・・泣
なんにせよ、当時の大家さんは
車もピカピカで羽振りが良かったので
トゥルムに最初に入植したファミリーかどうかは別として
「土地成金」であることは確かでした。笑
今となっては懐かしい思い出です！
＊＊＊＊
というわけで、トゥルムの観光名所でもなんでもありませんが
こういう場所があるんだよ・・・ということで
「トゥルムの忘れられた聖地、カンチャマヤ」を
ご紹介しました。
正直、治安のことを考えると
それほどおすすめではありませんが
興味のある方は、
明るいうちに、荷物に気をつけながら
行ってみてください！