かれのことば | 魔女助産師tomoko [ コトノハヤ ]  書庫

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感じたことを言葉に変えて綴る手記。あなたのこころがあたらしく生まれる場に立ち会いたい。

TVで、
マスタード色のシャツに、クリーム色のジャケットを着た黒人男性が、
アメリカのワシントンの、
地下鉄の出入り口のそばで
電子ピアノの弾き語りをしているところを、インタビューされていた。

...

彼は、
「私の歌を必要としている人のために歌うんだ。
大勢のためじゃない。
大勢じゃなくていいんだ。
たった一人でもいいんだ。
たった一人でも、
私の歌を必要としている人がいるんだ。」と、
誇らしげに語っていた。
そして、
インタビューのために止めていた手を、ふたたび鍵盤に戻して、
彼の音楽を歌声とともに
つむぎはじめた。
彼の歌を必要とする誰かのために。

歌でも
詩の一行や
物語でも
写真でも
絵でも
踊りのひとつのポーズであっても

たった一人だけに
確かに届くことって
あるんだろうなと思った。

あらゆる創造物が、
必要とされるところに
必要なときに、
届きますように。