秋になり朝晩の寒さがきつくなってきました。この秋から冬にかけては、ぎっくり腰など腰痛でご来院される方が多くなります。今年もすでに何人もの方がご来院されております。ほとんどの人が重いものを急に持って痛めた方ではなく、歯磨きをしようと腰をかがめただけなのに・・・。横の物を取ろうと少し腰を回しただけなのに・・・。何も覚えがないのに朝起きようとしたら痛くて動けなかったなど急な痛みは突然やってきます。

 来院には、動けなくなってすぐに来る方、3日くらい経って少し落ち着いてからから来る方、整形や接骨院を一通り受診してから来る方などそれぞれのパターンがあります。 

 このように、痛みの強い方には、鍼を刺してすぐに抜く単刺術というやり方の他に、鍼に電極を付けトントンという軽い鍼通電療法を行ないます。電気治療を加えることにより痛みの緩和に効果があります。

 もともと電気を治療法に使った歴史をみてみるとずいぶん前から我々人類は電気を使った治療法をおこなっていることがわかります

 

古いものでは、古代エジプトの墓石の図柄デンキナマズの彫刻が残されていることから、ずいぶんと前から電気を使って治療していたと想像できます。叉、古代ギリシャの哲学者であるアリストテレスも電気エイが痛みなどの感覚をやわらげる事を述べており、当時民間療法として受けいられていたようです。その後、電気魚の痛みの治療は18世紀まで続きます。

 1650年に静電気装置が発明され、1744年にはこれを用いて人工的な電気が医学で初めて応用されました。1800年には電池が発明されようやく人類は電気を人工的につくりだすことに成功しました。

 19世紀になると、アメリカで歯痛に電気刺激が有効であることが知られ、多数の臨床試験が行なわれました。1858年にアメリカで最初の電気刺激装置の特許が所得され、その技術がヨーロッパに伝えられました。その後小型で連続波・断続波を発生させる装置が市販され、神経痛や知覚過敏、歯痛、顎痛、膿瘍の手術時痛に適応が広がったと考えられます。叉、痛い場所だけでなく手足などの遠い部分を用いて治療がされており、末梢神経を刺激することにより鎮痛に効果があることがすでに知られていたと考えられます。

 20世紀になると、電流量、周波数などの刺激条件と有効性の関係が調べられ、適応も広がり、坐骨神経痛、腰痛、ヘルペス後疼痛、三叉神経痛の治療にも用いられてきました。

 

 このように昔から我々は電気を治療に用いてきました。今では、電気はあらゆるものに応用され生活に欠かせない資源となっております是非有効に使って、痛みを早く治すことにご利用してください。

 

引用文献

山口真二郎   鍼通電療法テクニック 運動器系疾患へのアプローチ  医道の日本社 2001.6  


いちえ鍼療院 代表内藤