僧侶無料アルゴは二人の足元を見て済まなそうに「申し訳ありません、拙宅ですが土足禁止とさせてもらっています」と、言った。
一反木綿は自分の足元を見て、ハッとしたて、「あ、そうだった!嗚呼、でも肝心の足はないねー」ときしめんの様な足先をヒラヒラ。
クッチは慌ててブーツを脱ぎ始めたが、その瞬間、部屋中にまるで腐った卵のような強烈なアンモニア臭が充満し、思わず顔をしかめた。「うわっ、何よこの臭い!」クッチは鼻を摘んだ。
アルゴは苦笑いしながら、「す、すみません。僕の飼っているスライムーチョが、ちょっとだけお漏らししちゃって…」とクッチをかばった。
一反木綿はヒラヒラさせた足先をガン見して「まさか、私の体からこんな臭いが…?」と慌てふためいた。
「コホン、僧侶無料アルゴさん、ハッキリ言いますが、時空旅行の指南は私たちには無理と思います」と、一反木綿は言った。
僧侶無料アルゴは、切羽詰まった声で「何故なんです!」と。「はい、私たちは私たちの世界の、科学の力でこちらの世界に参りました。
でも、何処へ行くにしても、手続きは必要でしょう? 私たちがこちらにこれたのは、その手続をした覚えはないにしても、終了していて、
この万能JCBカードが使用できるのは、時空移動を許可する特別なチップがカードに埋め込まれているから可能なこと。カード会社も商売ですから、損しないようにしてるでしょ?
でも、その仕組みは私たちには全く分かりません。科学の社会に乗りそこね、何が何やら。
自慢じゃありませんけど、トランジスタラジオだって直せやしません。だから、技術的にどーなってるのか知りません。
それよりも、この街には、パラレルワールドへ行った事のあるモノがいます。
実は、私たちは『揉めメディア』さんという方を探しているのですが、ご存知ないでしょうか?」と、一反木綿は、慎重に尋ねた。
続く。