クッチは一反木綿の腹に横になって、「風呂に入ってないけど臭わないわね」と、確認し、「思ったんだけど、あの、恐怖のバグ、あれをリップールはどうやって手に入れたのかしら?」と、聞いた。


一反木綿は一 「うーん、面白いところをついてきたね。確かに、リップールが自分で開発したとは思えない。

情報伝達族とはいえ、生物兵器みたいなものを開発する知識や技術はなさそう。もしかしたら、リップールが何かの取引で手に入れたのかもしれない。

情報伝達族は、情報力は高いから、闇市場のような場所で、バグの情報を手に入れた可能性は考えられない?」

「あるいは、リップールがバグの開発を依頼した人物がいるかもしれない。情報伝達族は、交渉能力が高いから、

誰かに協力を求めることは難しくなさそうだ。現に僕らはリップールの正体を知ってたって、彼の話を信じそうになったもの」と、顔をしかめた。

クッチは「待って、待って! リップールが開発を依頼したって、ハイそうですかって、ワケないと思うけど、リップールが相手の弱みを握っていたとしたら?」

一反木綿は体をピンッと伸ばして「あるねー 時代劇の悪代官くらい悪いんだから、脅迫なんてお手のものさ」と言った。


「いきなり揉めメディアの監禁場所を探すより、リップールの弱みを握りましょうよ!明日は聞き込みして、闇市場を探さない? 

きっとこの付近よ。だって、闇市場も電波に邪魔されないこの木があったほうが都合が良いじゃない」と、クッチ。一反木綿は

「クッチ、今、なんて言ったの?」と、身を乗り出した。クッチはキョトン顔で、「電波が邪魔される場所って」と言った。

「私の腹から襤褸いラップトップを出してくれる?」と一反木綿は言って、クッチがそれを取り出すと、片手で器用にうろ覚え検索を始めた。

「分かったよ! この街で一番電波の邪魔される場所は、バーチャルカレンーシティ北部地域、北極圏内にあるタヌキ湖近辺! ねぇ、クッチ、オーロラ見学付きの闇市場ツアーなんてどう?」と、一反木綿はドヤ顔を決めた。



「電波の届かないところに悪の匂いがするって事ね! そこにオーロラが出るなんて、ロマンチック!」とクッチは興奮した。

続く。