このやり取りを聞いて、クッチは一反木綿に「リップールさんはハンサムとの付き合いがなかったのね」と、苦笑いを浮かべた。

「そうだね、ハンサムの事は噂には聞いていただろうけど、よくは知らなかったのに、自分の思いつきに溺れちゃって、

先走っちゃったかな。サプライズで結婚、申し込んでドン引きされるみたいな? これまた、モテない男に在りがちー」と、



一反木綿はお手上げポーズを見せながら、天井を見上げた。リップールは揉めメディアの口から自分の名が

出てこないことに傷つき、「海に落ちたホックは可哀想なことをしたね」と、ポツリと呟いた。窓の外には、夕焼けがトロイの木馬の鉄壁を赤く染めていた。

揉めメディアは一歩たじろいで、「嗚呼、リップール、リップールなのね」と言うのが精一杯だった。

彼女は、その言葉を聞くまで、リップールのことを意識したことがなかった。まるで、目の前の男が初めて見た人物のように感じられて、

戸惑いの色が彼女の顔に広がった。リップールは床に目を落として、「ハンサムはここで待っていても戻っては来ないよ」と告げた。

彼の声には、どこか諦めのようなものが混じっていた。揉めメディアは、彼の言葉を聞き、パニックになったように彼の腕を掴んだ。

「なぜなの?」彼女の瞳には、不安と怒りが入り混じっていた。「僕は監禁室でのやり取りを盗聴したんだ。

池田CPマウンテンは、ハンサムの借金と君を引き換えたのさ。ハンサムはもう、トロイの木馬から無罪放免!


次の獲物を狙っているだろうよ。寄生虫のような男さ。」と、リップールは、まるで自分自身に言い聞かせるように呟いた。

続く。