クッチは驚いて「両性具有の上に、浮気でもしてるの? 」と聞いた。一反木綿は頭を掻く仕草をして
「浮気なんてまさか!違いますよ。私はね、カバン族のクッチには分からないと思うけど、腐肉の匂いが堪らなく好きで、
あれを嗅ぐと、理性とか常識とかがぶっ飛んで、飛びついちゃうんだ!ほら、この間も、砂漠で死んでいた大トカゲを見つけて、
思わず抱きしめてしまったんだよ…私らは寄生してナンボだから、生きていないものは体に毒!
そうと知りつつ、嗜好品とはよく言ったもんだよー心の隙ができると、腐肉の匂いを探している自分がいるんだ!」と、夢見る目つきになった。クッチはドン引きして逃げ出しそうになりながら、
「つまり、一反木綿も、揉めメディアも依存症って事ね」と。一反木綿は「クッチだってさ、品物を見たら、
腹に収めたくなるんじゃないの? ハマる何かって程度の差こそあれ、誰でもあるんだよ。
それに、揉めメディア、と言えばご先祖様は星座の金の羊だけど、一番輝く星はハマルだよ。でも、
彼女の依存症は深刻で、ハンサムに振り回されて、精神的に追い詰められている状態みたいだね。
このまま放ってはおけないから、リップールさんは助けようとしているんだろう」と言った。
クッチは一反木綿の言葉を聞いて、考え込んだ。そして、「私たちは医者じゃない。でも
揉めメディアの星はハマルだから彼女はハンサムにハマったって、事にしておきましょうか?」と、一人、納得したように頷いた。
続く。