一反木綿無視無視は、「揉めメディアさんとハンサムさんは現在、どうされているのですか?」と聞いた。

「二人はすでにこの世のものではありません。揉めメディアが、ハンサムを助けるために一族を裏切った。

それだけでも大罪ですが、揉めメディアとハンサムは一族を騙す過程で、ただならぬ関係になったからです。

先ほどもお話した通り、仮想通貨族は族を超えた恋愛が一切禁止されています。非常事態宣言の出される事案です。



混血は一族と言うよりも、バーチャルカレンシーの危機でしたから、族長会議を開き、討論しましたが、処刑やむを得ないとの結論を持ちました。

そして二人の間柄に思いが至らなかった私は道化師のようにリップサービスするだけの能力しか持ち合わせていなかった事も証明されましたね」

リップールは苦い物を飲み込んだかのような表情をした。

クッチが「お二人の最後はどんなご様子だったんですか?」と聞いたけれど、一反木綿無視無視は、

「クッチ、リップールさんの気持ちを察しなさいよ。話したくない事だってあるんだよ!」と、クッチを諌めた。

リップールは「いえいえ、もう、過ぎたことですから、包み隠さずお話します。クッチさんのヌメヌメスター探しのヒントになるかも知れませんし」と言った。

クッチはそれを聞いて、この暑さで一反木綿蒸し蒸し状態になっている一反木綿無視無視を無視して、「マジですか!」と弾んだ声を上げた。


一反木綿蒸し蒸しは「チッ」と思いながらリップールの言葉を待った。

続く。