戦いは熾烈を極め、ドレスと作業着は互いに傷つきながらも、一歩も譲らない。しかし、優子の心の中には、ドレスと作業着に対する愛情が平等に存在していた。


夢の中で苦悩する優子。優子は、用途が違うのだから、どちらか一方なんて選べやしない!と悩んだ。すると、作業着の子であるボタンたちが現れた。

ボタンたちは、優子に語りかけた。

「私たちは、あなたにとって大切な存在ではありませんか?私たちは、あなたと一緒にたくさんの思い出を共有してきました。

私たちを捨てないでください。」ボタンたちの言葉に、優子の心は動かされた。そして、優子はドレスと作業着に

「私は、あなたたちどちらも大切にしています。そんな二人が争うなんて見ていられない!どうか、傷つけ合うのは止めてください。」と優しく語った。

優子の言葉に、ドレスと作業着はようやく争いをやめた。

目覚めた優子は、作業着ばっかりで過ごさないでたまにはドレスを着て街に出かけようか!

そう思うだけで元気がみなぎって、カーテンを開けると眩しい朝日が差し込み、思わず優子を笑顔にした。

物語りを読んだクッチはそれがバーの心残りの優子だと察した。「真田無視無視さん、これってもしや、小間物町の優子さん?」と聞いた。

真田無視無視は苦笑いして「できる限り、クッチさんと関連することは調べたけど、35億年の記録だからねぇ、

細部までは難しいね、それに、有機記憶装置にはコンプラとかプライバシーとかも仕掛けられているらしいよ。ってさあー全員、死んでるけどな!」と最後はやけに嬉しそうに言った。

クッチは小首をかしげて「でもー、優子さんとヌメヌメスターとは関係あるのかしら?」と、呟いた。

真田無視無視は「もう、読むのも大変でしょ? 遠くから来てくれたから、教えてあげるよ。

消息不明のボタンのフリクソに会ってみるといい、何かを知っているようだよ、も一つオマケにその子の所まで送ってあげる。さあ!乗って!」と言った。



クッチはベタベタに恐れつつも水平型エスカレーターのような真田無視無視の背に乗って、新しい旅に出た。
続く。