ハサミは深夜、作業着に忍び寄り、静かに作業着の子であるボタンのフリクソを巧みに切り取った。

作業着は突然の襲撃に驚き、必死に抵抗しようとしたが、ハサミの鋭い刃に敵わず、残された一粒の子ボタン、フリクソと離れ離れ。



ボタン兄弟は、作業着から切り離されバラバラになってしまった。中には、消息不明になってしまったボタンもいた。

しかし、幸運にも、優しい人の手に渡ったボタンも。そのボタンは、新しい服に縫い付けられ、

再び主の役に立つことができるようになった。また、別のボタンは、アクセサリーとして生まれ変わる。

そして、最後のボタンは、優子に大切な思い出の品として、裁縫箱に保管されることになった。

作業着の子らのボタンたちは、それぞれ様々な運命を辿って行ったが、どのボタンも、かつて作業着と一緒に過ごした時間を忘れることはなかった。



優子は作業着からボタンが取れているのに気が付き、あ゙ー、ボタンが全部取れた!と思い、床に落ちていた子であるボタンを裁縫箱に保管したその夜、彼女は奇妙な夢を見た。

夢の中で、ドレスと作業着が激しい戦いを繰り広げていた。ドレスは、優子の心の中で自分が一番の存在になりたいと願っていた。

一方、作業着は、優子にとってかけがえのない存在であり、ドレスの企みを阻止しようと必死に戦っていた。

続く。