綿球子は涙ぐんで「私たち、転がりやすいタイプだから出来なかったの」と言うと

「そんなおためごかしじゃないわよ! 私たちは不潔に弱いの! 外に出たら埃が付いて、水にでも濡れたらこの世とおサラバ! 薬局に行って悲嘆の包帯を重曹で洗うなんて、自殺行為よ」と綿球転は強く言った。

綿球子はワナワナして「クッチさん、弱い私たちを軽蔑したでしょ? 友だちを見殺しにしてました」と訴えた。



クッチは「軽蔑はしていないよ。でも、どうして他の仲間に助けを求めなかったの? 嗚呼、ごめんね、通りすがりのモノには分からない事情ってあるよ、

今、悲嘆さんを治せるかも知れないんだから、そっちが先だよね。」と。綿球転は目を見開いて「理由はね、自分たちの生死だけじゃない!」と言った。

クッチは、「全部言わなくてもいいのよ。自分を傷つけても仕方ないじゃない。私もモノだから、

気持ちは分かるわ。長生きして、モノの頂点である正倉院宝物庫に行きたいんでしょ?そんな気持ちは誰だって同じよ。」と語りかけ、二人にハグしようとしたが、拒否られた。



続く。