クッチは、息を呑んで保護衣を見つめた。シーンとした地下空間の中で、保護衣の中から何か温かいものが伝わってくる。
それは、悲嘆の包帯の深い悲しみと、クッチの優しい心遣いが織り成す、不思議な調和だった。
ゆっくりと、保護衣が動き始める。クッチは目を凝らすと、布の僅かな隙間から小さな指先が一本、現れた。その指先は、クッチの手に向かって伸びてくる。
恐る恐る、クッチは自分の指先を悲嘆の包帯の指先に絡める。冷たい感触だったが、同時に、包帯のぬくもりがあった。
何も言葉を発することなく、悲嘆の包帯は語りかけていた。その指先は、悲しみ、苦しみ、そして絶望を伝えていた。
クッチは、悲嘆の包帯の指先を握りしめ、静かに語りかける。
「私は悲嘆さんのことを理解したい。あなたの苦しみを分かち合いたい。そして、あなたを助けたい。」
クッチの言葉は、地下空間の静けさに溶け込み、保護衣をそっと揺らした。
しかし、突如として、静寂は破られた。
「あなたはどなた様ンサタダサはタダじゃねーぜ? あー、ステート、私、背中が痛いわ! ここから出してよー、アナタって本当にサディストよね、私をいっつも縛り付けて喜んでる!アハハハー」
明るい声が響き渡り、クッチは驚いてステートの顔をポカンと見つめる。ステートは眉間に皺を寄せ、困惑した様子で
「私たち、医療業界で働いている仲間たちの意見では、彼女は二重人格だと思うけどな、
残念ながら誰も医者じゃないからハッキリそうだとは言えないんだよ。」と言った。
続く。