ステートは「余裕芍薬で花まで咲かせるとは…いや、これは…ワタクシの質問が簡単すぎただけなのか? それとも、クッチは…想像以上に優秀なモノなのか?」

ステートは独り言のように呟きながら、クッチをさらにじっと見つめた。しかし、すぐにステートはいつもの飄々とした表情に戻った。

「ふむふむ、いずれにしても、なかなか面白いモノだな。よし、約束通り、悲嘆の包帯さんについて知っていることを話そう。」

ステートは懐中電灯を手に取り、地下空間の奥へと歩いていった。クッチはステートの背中を追いかけながら、期待に胸を膨らませた。

しかし、地下空間の奥へと進むにつれて、不安が募っていく。物置の奥は前人未踏の地と化していて、埃は雲の厚みが500〜1000メートルくらいある層積雲のようだった。



「わぁー雲の上にいるみたーい!メルヘンチックねー 私はクッチよーじゃねーよ! どんと来いアレルギー体質でもネード!で御座います」

クッチは声を上げ、ハンカチで鼻を抑えた。埃が容赦なくサブちゃんばりのクッチの鼻の穴から侵入しくしゃみが止まらない。



そんな中、ステートは足を止めた。懐中電灯の明かりが照らしたのは、積み重なった木箱だった。その木箱には、錆び付いた錠前がかかっていた。

ステートはその一つを取り出して、「ここが悲嘆さんのいる場所だ。」ステートが鍵穴に鍵を差し込み、ゆっくりと回した。カチャリと音を立てて、錠前が開いた。